“Am60 Am40” (2017) Antonio Meneses, Andre Mehmari
Antonio Meneses (cello) Andre Mehmari (piano)


Antonio Meneses 2017-09-01

 気がついたら新譜が出ている、多作の2017年のAndre Mehmari。
 サンバな“Três no Samba” (2016)、ブラジリアンジャズの“Guris” (2016)に、南米フォルクローレの“Serpentina” (2017)と来て、こちらはクラシック。
 チェリストとのDuo作品。
 Antonio Menesesについての情報はもっていませんが、タイトルからして60歳のベテラン、クラシックの人なのでしょう。
 巨匠な人なのかもしれませんが、そちらに疎くて・・・
 J.S.Bachで始まり、間にJ.S.Bachを何曲か、J.S.Bachで締め。
 その間にAndre Mehmariのオリジナル曲、さらにとても悲しいJobimナンバー、長尺、激情なAstor Piazzollaナンバーに、その他南米のクラシック曲?などなど、短めの演奏を中心にたっぷり15曲。
 前面に出るのはチェロ。
 丁寧に端正に紡がれる音。
 一歩後ろに引いた感じのピアノですが、いつものタメと疾走が交錯する例の音使い。
 ゆったりとしたチェロが奏でる旋律の後ろで漂い、舞い落ち、時に転げまわるピアノ。
 もちろん全体の空気感はクラシックですが、その合間合間にMinasのような、Jazzのような、郷愁感が漂うサンパウロ~Andre Mehmariの色合い。
 お得意のワルツを含めて、フワフワと漂うような強い浮遊感。
 さらに少々沈痛なタンゴの色も加わり、優雅で優しい音、センチメンタルな音、Egberto Gismontiなハイテンションな音、その他諸々、ブラジル~南米な空気感がてんこ盛り。
 ECMでも同フォーマットの作品が多数ありますが、それらほど妖しくなく、トゲもない端正な音。
 クラシック作品としてはどうなのかはわかりませんが、ジャズの耳からすれば、とてもわかりやすくて心地よい作品でしょう。
 中盤以降、少々重めで激しい演奏もありますが、上品で優し気なムードが勝ります。
 クラシックながら南米の香りがする音の流れと浮遊感。
 南米・コンテンポラリー・クラシックとでも呼ぶのでしょうかね。
 とても美しくて、とても優雅です。




posted by H.A.