“Fairytales” (Feb.1982, 1979) Radka Toneff
Radka Toneff (voice) Steve Dobrogosz (piano)
とてつもなく美しく、悲しいアルバム。
アメリカ~スウェーデンのピアニストSteve Dobrogoszは、クラシックのムードも纏った美しく上品な音。
決して派手ではありませんが、時折のタメ、零れ落ちるような、浮遊するような音使いを含めて、ECMでリーダー作があってもおかしくない、いかにもヨーロッパジャズなピアノ。
その上を漂うような、透明度の高い可憐なボイス。
線が細めに聞こえること、上の方で微妙に裏返る事も含めて、とても繊細で儚い歌。
ポップスからの選曲、“My Funny Valentine”、”Nature Boy”といったスタンダード。
大きなフェイクもなく、奇をてらったアレンジもありません。
際立って美しい声とピアノ、全編スローで徹底的に静謐な事を除けば、この時代の作品にはたくさんありそうな構成。
ECMの名作“Somewhere Called Home” (1986) Norma Winstoneあたりに近い感じではあるのですが、もっとポップで、もっと普通にジャジー。 静かで淡々とした色合いは、あの時代の北欧ジャズの静かで美しい佳作、確かに妖精だなあ・・・とサラリと聞き流してしまうかもしれません。
が、なぜか微かに漂う凄み。
が、なぜか微かに漂う凄み。
その根源はよくわかりません。
事実としては、Radka Toneffは本セッションの数ヶ月後に自殺したとのこと・・・
・・・
似た感じだからといって他のアルバムと並べるのはちょっと畏れ多い。
大名作です。
posted by H.A.