“Paradise and Lunch” (1974) Ry Cooder
Ry Cooder (guitars, mandolin, vocals)
Ronnie Barron (piano, organ) Russ Titelman, Chris Ethridge (electric bass) Red Callender, John Duke (bass) Milt Holland (drums, percussion) Jim Keltner (drums)
Plas Johnson (alto sax) Oscar Brashear (cornet)
Bobby King, Gene Mumford, Bill Johnson, George McCurn, Walter Cook, Richard Jones, Russ Titelman, Karl Russell (voices)
Earl Hines (piano)

Paradise and Lunch
Ry Cooder
Mobile Fidelity
2017-03-24


 夏の終わったころに聞きたくなる音、Ry Cooderの大傑作。
 アメリカンロックのベストアルバムは"No Reason to Cry" (1975, 1976) Eric Claptonだと勝手に思っているのですが、もっとアメリカ南部な感じなのはこちら。
 ま、Ericさんはイギリスの人ですし・・・
 ストレートなアメリカンロック色が強かったここまでの作品に対して、本作、あるいはこの前の”Boomer's Story” (1972)あたりから音が変わってきているようにように思います。
 ロックというよりも、ブルース、ソウル、ニューオリンズファンク、カントリー、アメリカ南部とメキシコが混ざり合う、いわゆるテックス・メックス、レイドバックしまくった音。
 音の密度と音圧が下がった感じで、ディストーションが掛かったギターもあまり出てきません。
 アメリカオンリーから、その周辺国の音へと広がっていく端緒でしょうか?
 ゆるーいようで完璧な組み立て。
 前後左右、いろんなところからいろんなギターやコーラスが飛び出してくる、とても素敵な音作り。
 小さな音で聞いているとサラリと流れてしまうのかもしれないけども、大きな音、あるいはヘッドホンで聞くと、気持ちよさ最高。
 計算づくでやったのか、自然体でこうなってしまうのか、完璧なアンサンブル。
 ジャズピアノやサックスなども入り乱れてジャジーなムードも醸し出しつつ、あの時代の大らかでのんびりしたアメリカ南部な空気感が最初から最後まで。
 ちょっとした埃っぽさも、それがいい感じですねえ。
 Eric ClaptonLittle FeatThe BandThe Allman Brothers Bandも神様のような人たちだけど、こんな感じのゆるくて心地よい演奏は少なかったと思うなあ・・・
 まさにParadise。
 次も大傑作“Chicken Skin Music” (1976)。
 この期のRy Cooderは最高。




posted by H.A.