“East of the Night” (1985) Stephan Micus
Stephan Micus (10-String, 14-String Guitar, Shakuhachi, 4 Shakuhachi)
ドイツのマルチインスツルメンタリストStephan Micus、とても静かで穏やかな無国籍ワールドミュージック。
ECMからの配給ですが、制作はJapoレーベルのようです。
全二曲のクレジットを見るとちょっと身構えてしまいますが、中身はとても穏やかで優しい音。
LPレコードA面は、ギターと尺八が妖しく絡みあう、ゆったりとした幽玄な空気感。
おそらく日本をイメージしているのでしょう、どこかしら東洋的な雰囲気。
甘くも華やかでもなく、妖しげでもあるのですが、どことなく懐かしく、センチメンタルな音の流れ。
LPレコードB面はギターのみでの演奏ですが、これまたとても優し気でセンチメンタル、あるいはロマンチック。
A面比べると少々シャープな印象、メロディも明確ですが、淡くて穏やかな空気感は同じ。
訥々としたアルペジオで爪弾かれる悲しげなような、懐かし気なようなコードとメロディ。
全二曲、いずれも淡々とした音の流れがひたすら二十数分続きますが、退屈はありません。
一日中このアルバムがループしていても、おそらく違和感はないでしょう。
終始静かで優しい音だから。
他の作品に比べると、使われる楽器の種類が少なくシンプルなこと、ボイスが入らないことも、よりナチュラルなムードにつながっているのかもしれません。
他の作品に比べると、使われる楽器の種類が少なくシンプルなこと、ボイスが入らないことも、よりナチュラルなムードにつながっているのかもしれません。
具体に過ぎず、抽象に過ぎない、絶妙なバランスの音の流れと空気感。
周囲の景色がゆったりと変わっていっているような、何とも微妙な音と時間の流れ。
ジャケットのアートのそのままの、幽玄で広い空間の音。
タイトルは「夜明け前」といったニュアンスでしょうか?
正否はさておき、そんな夜の静寂のゆったりとした曖昧な時間の動きのような音。
とても静かなトリップミュージック。
名作です。
posted by H.A.