“Caipira” (2017) Mônica Salmaso
Mônica Salmaso (Voice)
André Mehmari (piano) Neymar Dias (viola caipira, bass) Toninho Ferragutti (accordion, voice) Teco Cardoso (flutes) Nailor Proveta (clarinette, tenor sax) Robertinho Silva (percussion) Sergio Santos (voice, guitar) Rolando Bldrin (voice)

Caipira
Biscoito Fino
2017-08-21


 ブラジルのボーカリストMônica Salmasoの最新作。
 とても静かで優雅、強い浮遊感。
 とてもわかりやすいのだけども、アートな雰囲気のMPB。
 “Corpo de Baile” (2014)から新作がない、と思っていましたが、出てました・・・
 そちらはストリングス入り、個性の強いGuinga曲集でしたが、本作は少人数の編成でのインティメイトな音作りのオーソドックスなブラジル曲集。
 新旧のしっとり系の楽曲を、ゆったりと静かにフワフワした音を出すバンドと、静かに穏やかに漂うミステリアスなスモーキーボイス。
 お洒落なボッサや元気なサンバはありませんが、ブラジリアンフォルクローレ的な音、ミナス的な音、バイーア的な音、ショーロ的な音、クラシックな音、その他諸々がフュージョンする音。
 旧くからの盟友André Mehmariが三曲に参加し、うち一曲はSergio Santosとのトリオでのバラード。
 名前から想像されるような最高の音。
 その他全体でも彼らの作品の空気感にも近いのですが、もっと穏やかで、山奥っぽいブラジリアンネイティブな音。
 背景を作る音の主役はアコーディオンとギター(ヴィオラ?10弦のヤツ?)でしょうか。
 ドラムレスで強い浮遊感の優雅な音は、前作のようにストリングスが入るとさらに優雅になるのでしょうが、空白の多い空間にときおり管楽器が音を出すスタイルは、素朴でかつ優雅。
 ビートが上がってもその優雅さ、穏やかさはそのまま。
 いろんな楽器が入れ代わり立ち代わり出てくるスタイルは、シンプルでさり気ないようで計算しつくされた音作りなのでしょう。
 もちろんメロディは終始郷愁感が漂うブラジリアンな音の流れ。
 いつもながらにどこか遠いところ、遠い時代に連れて行ってくれるトリップミュージック。
 素朴なようで洗練の極み・・・
 ・・・てな感じで、いつも通りの形容になってしまうのですが、高尚に過ぎずほどほどポップなバランスは、諸作の中でも本作が一番和むかもしれません。
 ジャケットはシルクでもベルベットでもないストローのハットに、色調を落とした微妙なカラーのポートレート。
 今年の私的ジャケット大賞はこれ。たぶん。
 中身もナチュラルで優雅で、アンティークなようで新しい、そんな音。





 リーダー作、並びに参加作。私が知る限り。
 ハズレなしの名作揃いですが、最近の静かで穏やかな作品も素晴らしいのですが、初期も名作揃い。
 ジャズな“Nem 1 ai”、ポップな“Iaiá”もいいなあ。
 さて、どれがベストか?・・・判断不可ですかねえ・・・

 “Afro-sambas” (1995) with Paulo Bellinati
Trampolim” (1998)
Voadeira” (1999)
Nem 1 ai” (2000)
 “Lachrimae” (2003) Andre Mehmari 
Iaiá” (2004)
“Noites de Gala, ao vivo” (2008)
 “De Arvores E Valsas” (2008) Andre Mehmari 
 “Veja o Som (See the Sound)” (2009-2010) Jovino Santos Neto 
 “Canteiro” (2010, 2011) André Mehmari 
 “Orillania” (2012) Carlos Aguirre 
Corpo de Baile” (2014)
 “Porto Da Madama” (2015) Guinga 
Caipira” (2017)

posted by H.A.