“Live at Visiones” (1997) Lars Danielsson
Lars Danielsson (bass, synthesizer, piano)
Bobo Stenson (piano) Jon Christensen (drums)
David Liebman (soprano saxophone)

Live at Visiones
Lars Danielsson
Imports
2010-01-05


 Lars Danielsson、若手~中堅時代のコンテンポラリージャズ作品、ライブ録音。
 少々妖しげ、ヨーロピアンなコンテンポラリージャズ。
 Bobo StensonDave Liebman、Jon Christensenといったビッグネームと組んだこの期のレギュラーバンドでの最終作。
 このステージでもDave Liebmanと楽曲を分け合い、このバンドの集大成的な位置づけでもあるのだとは思います。
 フロントに立つのはソプラノサックスですが、全体の音を支配しているのは、カミソリのように鋭く繊細で美しいBobo Stensonのピアノのようにも感じます。
 サックスが抜けてピアノトリオになった場面はもちろん、さり気ないバッキングでもタダモノではない音の流れ。
 Bobo Stenson はECMに復帰して制作を続けている時期で、近作は“War Orphans” (1997)あたり。
 独特のクールな緊張感が全編に漂います。
 各曲がコンパクトにまとめられていたスタジオ録音作品ではあまり感じなかった少々重めの質感、あるいは、John Coltraneのムードが漂うのは、モーダルな演奏に加えて、その時代を経たミュージシャンならではの空気感でしょうか。
 Lars Danielssonはこの後ACTに移籍。
 若手メンバーを集めつつ、作品のムーどは大きく変わって、“Libera Me” (2004)を始めとする沈痛なまでに悲し気でメロディアスな作品を連発。
 そこに至るまでの、ミステリアスなヨーロピアンジャズのLars Danielsson。
 20世紀も最終局面、21世紀との狭間、そんな音。




posted by H.A.