“Litoral e interior” (2009) Sérgio Santos
Sérgio Santos (voice, guitar)
André Mehmari (piano) Rodolfo Stroeter (bass) Tutty Moreno (drums) 
Andrea Ernest Dias (flute) Marcos Suzano (percussion) Sílvio D’Amico (guitar) Jota Moraes (Vibraphone) Fabio Cury (Fagote) Éser Menezes (Oboé) Luca Raele (clarinette) and Strings, others

Litoral & Interior
Sergio Santos
Biscoito Fino Br



 ブラジル、ミナスのシンガーソングライターSergio SantosのMPB作品。
 “Áfrico” (2002)、“Iô Sô” (2007)のアフリカンなブラジリアンな感じ、“Sergio Santos” (2004)の洗練されたジャジーなMPBに加えて、クラシックな色合いを加えたアルバム。
 André MehmariJoyceバンドが引き続いてサポートするとともに、ストリングスの登場場面が増えています。
 クラシカルな色合いとドラマチックなテイストが・・・と思っていたら、André Mehmariがアレンジその他に関わっているようだし、全編に参加。
 ストリングス主体のクラシック風、サントラ風、スキャットとアコーディオン、管が絡み合う曲、サックスがフィーチャーされるジャズ曲など、インスツルメンタル中心の楽曲が何曲か。
 André Mehmariとしても名作“Canteiro” (2010, 2011)制作直前のようで、そんな色合いもちらほら。
 それらが“Sergio Santos” (2004)のような洗練されたサンバ、ミナス的なボーカル曲の間に挿入される構成・・・
 というか、実質的に半分半分だし、ボーカル曲についてもAndré Mehmari的な複雑なアレンジでさまざまな楽器が絡み合う構成。
 ピアノも後ろの方で跳びまわっています。
 冒頭はいつものギターとボイスでスタートしますが、ビートが入るとヒタヒタ迫ってくるようなブラジリアンの色合いの緊張感のあるグルーヴ。
 あの一時期のPat Metheny Groupのムード。
 それに続くのは映画のサントラ的なオーケストラ曲、さらにはジャジーなサンバ・・・
 そんな感じで色々なテイストの素晴らしい演奏が続きます。
 楽しげだったり哀しげだったり、ボッサだったりジャズだったりクラシックだったり・・・全く違うテイストのようで不思議な統一感。
 一編の映画を見ているようなストーリー性と完成度。
 締めは優雅で美しいストリングスオーケストラのワルツから、ギターとゲスト女性ボーカルとのDuoで静かな幕。
 もちろんリーダーのボーカルはいつものゴムまりのように弾む柔らかで優しい声。
 楽曲も全て彼のオリジナル、メロディ自体はいつもと同様。
 が、ここまでの延長線のようで、意欲作であり、新機軸。
 MPBとして扱ってしまうには、あまりにも多彩で複雑、高度な演奏。
 でも、聞いた感じは極めてナチュラルでポップ、明るくて楽し気。
 現代ブラジリアンサウンドの最高峰・・・は大袈裟なのかもしれませんが、そんな凄みのある作品。
 繰り返しますが、しかもポップ。
 これは凄い作品、でしょう。




posted by H.A.