“Behind The Bridge” (1998) Andy Narell ‎
Andy Narell (Steel Drums)
Dario Eskenazi (Piano) Kleber Jorge, Steve Erquiaga (Guitar) Kleber Jorge (Cavaquinho) Paul Van Wageningen (Drums) Luis Conte, Paulinho Da Costa (Percussion)

Behind the Bridge
Andy Narell
Heads Up
1998-08-25


 スチールパン奏者Andy Narellのカリビアン・フュージョン。
 “The Long Time Band” (1995)に次ぐ作品ですが、前作まで使われていた電子楽器が無くなり、全編アコースティックなサウンド。
 キッチリ作りこまれたアメリカンなフュージョンではなく、ナチュラルなサウンド。
 ちょうど1970年代からのフュージョン時代が終わった時期なのかもしれません。
 基本的にはピアノとのDuoを中心として、楽曲によって他の楽器が彩りを付けていく構成。
 ベースレスな事も含めて、終始柔らかなラテンビート。
 楽曲も本人オリジナルは一曲のみで、他はおそらくカリブ~南米のカバーが中心。
 ってな感じで、ここまでの作品とは少しイメージは異なります。
 といっても、カリビアンネイティブな感じまではいかず、洗練された現代のフュージョンの色合いはあるし、本人のオリジナル曲はいつもの都会的な哀感のメロディなのですが、それら含めて、自然さと洗練のほどよいバランス。
 フワフワしたパンの響きが、ほどよい感じで漂う浮遊感の強い演奏。
 キッチリしたフュージョンビートだと浮遊感が出にくかったもんね。
 終始明るく陽気なようで、その実、微かに感じる影のような哀感、あるいは郷愁感。
 メキシコ~カリブ以南の音楽には常にそんなものを感じるのだけども、私が知る限りのこの人のアルバムの中では、それが一番感じられるアルバムのように思います。
 そんな感じで明るく陽気な演奏と郷愁感が交錯するような音の流れ。
 最後にさり気なく収められたピアノとのDuoでのフワフワしたバラードなんて最高の心地よさ。
 ここまでのアメリカンなフュージョン作品、後の元気いっぱいのピアノトリオとの“Sakésho” (2002)、パンのオーケストラ中心の“The Passage” (2004)、“Tatoom” (2006) などもいいのですが、これぐらいナチュラルで音数が絞られている方が、私的には一番好み。
 20年近く前の作品ですが、逆に古くなっておらず、今の時代にもフィットするように思います。
 スチールパン入りのジャズ的アルバムとしては、この作品あたりが一番自然に聞けるのかな?
 そんなこんなで、このアルバムもこの季節の必需品。




posted by H.A.