“A Thousand Nights And A Night - (Shadow Nights 1)” (1998) Kip Hanrahan
Kip Hanrahan (Producer, Voice, Percussion)
Don Pullen, Michael Cain (Piano) Brandon Ross, Eric Schenkman (Guitar)
Andy Gonzalez, Fernando Saunders, Steve Swallow (Bass) 
Horacio "El Negro" Hernandez, J.T. Lewis, Robbie Ameen (Drums) 
Abraham Rodriguez, Anthony Carrillo, Eric Valez, Puntilla Orlando Rios, Paoli Mejias, Richie Flores (Congas) Milton Cardona (Percussion)
Henry Threadgill (Alto Sax) Charles Neville (Voice, Tenor Sax) Alfredo Triff, Billy Bang (Violin) Carmen Lundy, Jennifer Resnick (Voice)

キップ・ハンラハン

 Kip Hanrahan、“A Thousand Nights And A Night: Red Nights” (1996) に続く、千夜一夜シリーズ第二弾。
 メンバーは微妙に変わっていますが、空気感は同じ。
 これまた激しさと優しさ、妖しさが交錯する、素晴らしいアフロキューバンジャズフュージョン。
 第一作と同様にオープニングは静かで幻想的な”Shahrazade”。
 第一作ではピアノで奏でられていましたが、本作ではギター。
 その分さらにしっとりとした音の流れ。
 続く怒涛のようなパーカッションを背景に、超スローテンポの物悲しいメロディ。
 歌うとも語るとも区別のつかない、女声の囁き・・・
 おそらくCarmen Lundyであろう妖し気なボイスが囁き続け、間々に激しいアフロキューバンパーカッションの宴、あるいはピアノ中心とした激しいインプロビゼーションが展開される・・・そんな構成。
 導入部分を抜けると激しく強烈な緊張感の連続。
 本作もKip Hanrahan作品に一番多いアルバムの王道にのっとっています。
 叩かれ続ける激しいピアノと、凄まじいビートを叩き出す、おそらくRobbie Ameenであろうドラム。
 前半の中核はやはりピアノとドラム、パーカッション。
 Michael Cain と二台で演奏?する場面を含めて、“Tenderness” (1988-1990)あたりから続く、超激しい系のDon Pullen。
 これもこの期のKip Hanrahanサウンドの代表的な音。
 中盤からは少し落ち着いて、サックス、バイオリンがフィーチャーされ、妖しい囁き、語り、歌が交錯しながら音楽が進みます。
 “A Thousand Nights And A Night: Red Nights” (1996) では凄まじいピアノがリードしていた緊張感の塊のようなメロディの“Zunnarud's Tale Continues With the Theives”は、陶酔を誘うパーカッション、今にも崩れ落ちそうな、あの世から聞こえてくるようなボイスはそのままに、ピアノレスでバイオリンが主導。
 音が厚くない分、幻想的であるとともに、かえって強烈な緊張感。
 対峙して聞くと心臓止まるんじゃないの?と思うぐらいの呪術的な空気さえ感じる音。
 その他諸々、オープニングで使われていた”Shahrazade”の穏やかなメロディをインタールードに挟みながら繰り広げられる音絵巻。
 とてもドラマチック。
 終盤は再びピアノを中核として、物悲しくハードボイルドな展開。
 締めは、ピアノとサックス、ギター、ドブロギター?が絡み合うフリージャズ的な音を背景にした、歌うような語るような妖し気な女声。
 いやはや何とも、カッコよくて・・・
 さて、前作“A Thousand Nights And A Night: Red Nights” とどっちがカッコいいんだろう?
 そちらの方が激しさテンションは上かもしれないけども、たくさん入っているナレーションが気になるのであれば、それが少ないこちらの方がいいかもしれません。
 さて、悩ましい・・・




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