“All Roads Are Made of the Flesh” (1985–94) Kip Hanrahan
Kip Hanrahan (Producer)
Allen Toussaint (Piano) Don Pullen (Piano, Organ)
Elysee Pyronneau, Leo Nocentelli (Guitar)
Andy Gonzalez, Renaud Garcia-Fons, Steve Swallow (Bass) Jack Bruce (Voice, Bass) 
Ignacio Berroa, J.T. Lewis, Robbie Ameen, Willie Green (Drums)
Jerry Gonzalez, Milton Cardona, Richie Flores (Congas) Anthony Carrillo (Congas, Bongos)
Charles Neville, Chico Freeman, George Adams (Tenor Sax)
Chocolate Armenteros, Giovanni Hidalgo (Trumpet) Wolfgang Puschnig (Alto Sax) Dino Saluzzi (Bandoneon) Michael Riessler (Bass Clarinet) Alfredo Triff (Violin) Carmen Lundy (Voice)

All Roads Are Made Of Flesh
Kip Hanrahan キップハンラハン
American Clave
1995-07-24


 Kip Hanrahan、ライブ音源を含めて、デビューから10年間ぐらいの録音を集めたアルバム。
 半数がかつてのライブ録音、半数が1994年のスタジオでの新録音。
 ライブアルバムを作ろうとしたのか、録り貯めたライブ音源を使って、キャリアを振り返る、あるいはキャリアをまとめようとした企画なのか、意図は分かりません。
 この先、“A Thousand Nights And A Night: Red Nights” (1996) に始まる千夜一夜シリーズ、“This Night Becomes a Rumba” (1998) のDeep Rumbaプロジェクトが始まり、ここまでとは違う活動。
 おりしも“Tenderness” (1988-1990)あたりで最高のバンドサウンドが出来たようにも思える時期。
 キャリアを総括して、中締めしておこう、といった感じが自然なとらえ方でしょうか。
 さて本作、時期もメンバーもバラバラですが、不思議な統一感、とてもカッコいい演奏が揃っています。
 冒頭はAllen Toussaintのピアノをフィーチャーした気怠いニューオリンズファンク。
 こちらは“Conjure: Music for the Texts of Ishmael Reed” (1983) Conjureの色合い。
 二曲目はロックなギターとJack Bruceのシャウトと、Don Pullenの跳びはねるピアノ、コンガが絡み合う、ロック~ファンクなナンバー。
 さらに続くは、いかにもKip Hanrahanのやるせないメロディ。
 Carmen Lundyの妖しいアカペラボイスとDino Salussiのバンドネオン、さらにWolfgang Puschnigのサックスが交錯する、穏やかながら凄い演奏。
 Don Pullen、Dino Salussi、Wolfgang Puschnigが共演するってのも、もう無茶苦茶な組み合わせ。
 とてもカッコいい。
 さらにスタジオ録音では、コンガとDon Pullenの跳びはねるピアノとJack Bruceのクールな激渋ボイス、妖し気なギターが絡み合う、いつものKip Hanrahanワールド。
 とてもクール。
 最後はパーカッションが鳴り響く時間と無音の時間が交錯する中での、George Adamsの咆哮。
 ・・・ってな感じで、いろんな時期のいろんな人の演奏が詰め込まれつつも、いつものKip Hanrahanワールド。
 ニューオリンズファンク~ブルース色、ロック色、しっとりさが強調されたジャズっぽい色合い、その他諸々、全部並べてみても全く違和感なし。
 それを繋ぐのは、鳴り響くアフロキューバンなパーカッションなのか、やるせない哀愁が漂うメロディなのか・・・?
 いずれにしても、さすがKip Hanrahan、一本、筋が通っていらっしゃいます。
 単なるベスト盤でもオムニバスでもライブ音源集でなく、オリジナルアルバムとしてしっかりまとまっています。
 これも名作です。
 次は“A Thousand Nights And A Night: Red Nights” (1996)。
 まだまだ快進撃が続きます。




 posted by H.A.