“Days and Nights of Blue Luck Inverted” (1988-1989) Kip Hanrahan
Kip Hanrahan (Producer, Percussion, Guitar, Keyboards, Voice, Percussion)
Peter Scherer (Piano, Keyboards) Pablo Ziegler (Piano) Leo Nocentelli (Guitar)
Andy Gonzalez, Jack Bruce (Bass) Steve Swallow (Bass, Piano) Fernando Saunders (Voice, Bass)
Ignacio Berroa, Robbie Ameen, Willie Green (Drums)
Milton Cardona, Puntilla (Congas) Giovanni Hidalgo, Anton Fier (Percussion)
Charles Neville, Rolando Napolean Briceno (Alto Sax) Mario Rivera (Baritone Sax) David Murray, George Adams, John Stubblefield (Tenor Sax) Lew Soloff (Trumpet)
Jerry Gonzalez (Trumpet, Congas) Alfredo Triff (Violin) Carmen Lundy (Voice)

キップ・ハンラハン

 アフロキューバンなジャズ~ポップスのKip Hanrahan、リーダー作第4弾。
 いつもながらのジャズ、ファンク、ロック、ブルース、フォーク、アフロ、キューバン、その他諸々、てんこ盛りのフュージョンミュージック・・・、さらに本作ではタンゴなども交えつつのKip Hanrahanワールド。
 デビュー作“Coup de tête” (1979-1981)のとんがったポップスな音に、ソフトな“Vertical's Currency” (1984)の色合い、さらにジャズ成分が強くなって、このアルバムで後々まで続くスタイルが完成したイメージでしょうか。
 バラードから始めるのがこの人の流儀のようですが、本作の冒頭はEllington所縁のジャズバラード“Love Is Like a Cigarette”。
 オールドスタイル、穏やかで優雅なホーンアンサンブルを中心に、普通に平和にジャズかと思いきや、最後に隠された唐突なCarmen Lundyの妖し気なアカペラボイス。
 普通にメロディを歌っているだけなのですが、ちょっと怖いような、ゾクゾクっとくる、なんとも凄い空気感。
 それがこれまた唐突にプツンと終わると、コンガが鳴り響くアフロキューバンロックなKip Hanrahanワールド・・・
 そんな流れでスタートしますが、後続は前作“Vertical's Currency” (1984)と比べると、少々強めのビート感。
 ザラツキ、トゲが独特の色合いのデビュー作“Coup de tête” (1979-1981)の音が洗練され、スッキリと整理されてきたようにも感じます
 もちろん妖しさ危なさは満点。
 囁くボイスとパーカッションの絡み合い。
 高揚と陶酔にいざなう音の流れの中での醒めたクールネス。
 本作、American Clave制作の“Tango: Zero Hour”(1986)、”La Camorra” (1988) Astor Piazzollaの制作と同時期といったこともあるのでしょう、レーベルメイト?のAstor Piazzollaが一曲”Ah, Intruder!”を提供。
 ピアノはPiazzolla バンドのPablo Ziegler
 タンゴなKip Hanrahanは、後にも先にもこれだけかも?
 どうせなら御大も呼んで、バンドネオンとコンガ&囁きボイスの共演を聞きたいような、そうでもないような・・・
 いかにもPiazzollaな名曲ですが、アルバムの中に溶け込んでいるような、そうでもないような・・・
 さておき、終盤は再びジャジーなムード・
 が、そこにも唐突なアカペラが隠されています。今度は男声・・・
 そんなこんなで、もちろん本作も妖し気な名作、さらに激烈な大名作“Tenderness” (1988-1990)へと続きます。




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