“Vertical's Currency” (1984) Kip Hanrahan
Kip Hanrahan (Percussion, Producer)
Peter Scherer (Organ, Synclavier, Synthesizer) Arto Lindsay, Elysee Pyronneau (Guitar)
Jack Bruce (Bass, Piano, Vocals) Steve Swallow (Bass) 
Ignacio Berroa, Anton Fier (Drums) 
Frisner Augustin (Tambou, Tamboura) Milton Cardona (Bongos, Congas) Olufemi Claudette Mitchell (Chekere) Orlando "Puntilla" Rios (Congas, Quinto)
David Murray, Andriau Jeremie, Ned Rothenberg, John Stubblefield (Tenor Sax) Mario Rivera (Baritone Sax) Lew Soloff, Richie Vitale (Trumpet)
Nancy Weiss, Nancy Hanrahan (Voices)

Vertical's Currency
Kip Hanrahan
Enja
2008-03-18
キップ・ハンラハン

 ニューヨークアンダーグランド、アフロキューバンジャズ~ポップスのKip Hanrahan、第三作。
 本作、Smooky Robinsonを意識して云々、タイトルはお金が落ちてくるようにの意、売れ線を狙って云々・・・との情報もあります。
 確かにメロディ、アレンジがキャッチーになり、しっとりとしたソウルな曲、ポップス仕立てのソフトな曲も目立ちます。
 結果的には、しっとりとした感じがジャジーさに繋がり、ここではまだハードではないものの、後々まで続くアフロキューバンジャズの色合いが見えてくる作品のようにも思います。
 もちろん純粋なジャズはないのですが、このあたりからのジャジーな作品が私的には最も好み。
 哀愁のメロディに独特のグルーヴ、Jack Bruceのうらぶれたような男臭い囁きボイスに、David Murrayのこれまた男臭い真っ黒けのテナーサックス。
 ポップスっぽい作りの曲でも、David Murrayのサックスが一音鳴ると一気にハードコアなジャズモード・・・
 ってなところまではいきませんが、ポップス~ソウルの枠にとどまらない、ジャジーな香り、エスニックな香りがとてもいいバランス。
 が、本作でもパーカッションだけで一曲、クリエイティブ系の妙な音のギターが鳴って、なんてマニアックな色もあります。
 ちょっと聞きではポップにロマンチックにできていてとても馴染みやすい音の流れですが、妖しく危ない空気、仕掛けもたっぷり。
 いつも通りの、ジャズ、ファンク、ロック、ブルース、フォーク、アフロ、キューバン、その他諸々、てんこ盛りのフュージョンミュージック、但し、本作は少々ソフトなポップス寄り。
 うらぶれた男の哀愁、それでいてちょっとオシャレなKip Hanrahanワールドはそのまま。
 30年の歳月が経った今にしても、古くない素敵な世界。
 とてもクールです。
 なお、近年のCDに追加された?未発表曲?“Against the Light”も、静かなグルーヴと囁きボイスの組み合わせ。
 静かな哀愁が漂う素晴らしいメロディ、高揚感~陶酔感、ソフト&ハイテンションなKip Hanrahanのカッコよさが濃縮されたとても素敵な演奏です。




 posted by H.A.