“UM” (2013) Dani & Debora Gurgel Quarteto
Dani Gurgel (vocal) Debora Gurgel (piano) Sidiel Vieira (bass) Thiago Rabello (drums)
 
Um
Dani & Debora Gurgel Quarteto
CD Baby
2013-09-15


 Dani Gurgel, Debora Gurgel母娘率いるバンドのブラジリアンジャズ~MPB、第一弾。
 っても元々Dani Gurgel名義で“Nosso” (2008)、“Agora” (2010)、“Viadutos” (2011)を制作したコアメンバーでシンプルなピアノトリオ+ボイスになっただけなのですが、音楽のムードは少し違います。
 ポップス然としたMPB作品とは違う、気合の入ったコンテンポラリージャズな音、ボイスは怒涛のようなスキャット中心。
 ここまでの作品では多用されてきたエレピ、エレベを封印し、アコースティックのみ。
 このピアノトリオがカッコいい。
 いかにもブラジルの母然としたルックスからは想像できないダイナミックかつ繊細なピアノ。
 知らなければ若手の男性?・・・、にしては少し音が丸いか?・・・ってな感じの力強くグルーヴィーな音。
 たぶんクラシックに造詣が深く、ブルージーなジャズはあまりやっていない感じ、ヨーロッパの人をもっと明るく豪快にした感じでしょうか。
 さらにロックなのかジャズなのかブラジルなのかよくわからない、意外なところにバシバシとスネアが入るドラム。
 録音のレベルが少々高めなのは、プロデューサーだからなのか、Dani Gurgelの夫君だからなのか・・・
 それに加えて、動きまくるベース。
 本作から参加のこの人、“Agora” (2010)などの前任者と同様、エレキベースもカッコいいのだけども、本作ではウッドベース一本。
 相対的にはしっとりとした感じにはなっていますが、それでももちろん強烈にグルーヴィー。
 そんなブラジル最高?のアコースティックジャズバンドを背景にしてボイスが跳ねまくり。
 冒頭からちょっと変わった強いリズムに跳びまくるスキャット。
 透明度の高い可憐系のボイスのはずなのですが、激しくアップダウンしながらこれでもかこれでもかと畳みかけるようなボイス。
 歌詞が付いているのは半数ぐらいで、それはそれでいいのですが、楽器のようなボイスインプロビゼーションの方が印象に残ります。
 ユニゾンでバンドと一緒に突っ走り、ブレイクからピアノのソロが立ち上がる場面がカッコいい。
 ブレークから立ち上がりの切り返しの躍動感がDebora さん得意のアレンジでもあるのでしょう。
 Dani Gurgel名義の諸作はもっとオーソドックスに歌詞を歌っていたように思いますが、ボイスをバンドの中の一つの楽器と考えてやっていこう、ってな感じなのかもしれません。
 かつて共演していた同じくブラジリアンTatiana Parraと同世代の仲間なのでしょう。
 似た感じの空気、もっと元気に明るく、カジュアルな雰囲気にした感じでしょうか。
 楽曲はDani & Deboraのオリジナル曲に加えて、Hermeto PascoalJoão Boscoを一曲づつ。
 全編通じてハイテンションでノリまくり。
 明るくて元気いっぱい。
 陰影?郷愁感?
 ま、それはまたどこかで・・・




posted by H.A.