“Blue” (1986) Terje Rypdal & the Chasers
Terje Rypdal (Electric Guitar, Keyboards)
Bjørn Kjellemyr (Acoustic Bass, Electric Bass) Audun Kleive (Drums, Percussion)

Blue
Terje Rypdal
Ecm Records
1994-10-25



 ノルウェーのギタリストTerje Rypdal、ギタートリオでのアルバム。
 トリオとなると名作“Terje Rypdal/Miroslav Vitous/Jack DeJohnette” (1978)、“To Be Continued” (1981)のハードなジャズな感じを期待してしまうのですが、本作はロック、あるいはフュージョン寄り。
 ノルウェーのベーシスト、ドラマーはジャズの人の様ですが、ビート感はヘビーなフュージョンテイスト。
 フレットレスエレキベース、チョッパーも多用するエレキベースに、パタパタしたドラム。
 ギンギンのディストーションにズルズルグチョグチョのギターはついJimi Hendrixを思い出してしまうハードなファンクロックなギタートリオってな感じの演奏もあります。
 もちろんそればかりではなく、ウッドベースが入ってジャズっぽくしっとりとした演奏、その他、ロッカバラード風だったり、4ビートなWeather Report風フュージョンだったり、幅のある音作り。
 ギターはいつも通りに十分に過激、激烈ですが、背景の整ったビート感からの印象は、少し過激なジャズフュージョン。
 Jaco Pastrius&Peter Erskinそっくりなベース&ドラムがあったり、ストリングスっぽい背景づくり中心に使われるシンセサイザーがあったりで、1980年代フュージョンっぽくて、懐かしい感じもします。
 ズルズルグチョグチョなハードなアバンギャルドロック、あるいはフリージャズってな面持ちはありません。
 ますますもってECM的ではないのですが、この時期、“Night” (1984) John Abercrombieなど、こんな感じのフュージョン作品もいくつかありましたかね。
 整った1980年代的フュージョンサウンドを背景にした、ズルズルグチョグチョでハードなギンギンギターのバランス、あるいはアンバランスが絶妙で希少、と言われればその通り。
 Weather Report全盛期は“8:30”(1979)とすれば少し前かあ・・・




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