“Tarkovsky Quartet” (2011) François Couturier
François Couturier (Piano) 
Jean-Louis Matinier (Accordion) Anja Lechner (Cello) Jean-Marc Larché (Soprano Saxophone)
 
Tarkovsky Quartet
Francois Couturier
Ecm Records
2011-07-26


 フランスのピアニストFrançois Couturierのロシアの映画監督Andrei Tarkovskyへのオマージュバンド。
 オマージュ作品自体は先に“Nostalghia- Song For Tarkovsky” (2005)がありますが、そのメンバーでTarkovskyを冠したバンドとしたようです。
 前作に当たるソロピアノ作品も“Un jour si blanc” (2008)もTarkovsky オマージュ色は強く、その思い入れたるや・・・本作もそうなのでしょう。
 “惑星ソラリス”ぐらいしか知らない立場としては、あまり突っ込んだコメントはしづらいのですが・・・
 ともあれ、先のカルテット作、ソロ作と同様に、静かながら陰影に富んだ音。
 無音、空白の時間が目立つ空間に、四人が発する静謐で繊細な音が絡み合う音の流れ。
 とても美しく悲しげなメロディと、広い空間に響く透明度の高いピアノの音。
 多用されるスケールアウト、不協和音までが美しく聞こえるこの人ならではの音使い。
 静かに背景を付けるアコーディオンのノスタルジックな響き。
 強烈な陰影をつけるチェロ。
 思い出したようにフロントに立ちリードするサックスがアクセント・・・
 全てゆったりとしたテンポ。
 強い感情の起伏もなくなく、あくまでクールに淡々と過ぎていく時間。
 前作“Nostalghia” (2005)に比べるとメロディ、コードが明確な曲が多く、よりわかりやすく、さらに全体的に丸く穏やかに、明るくなっているように思います。
 中盤以降に少々の毒気はありますが、フリージャズの面持ちは強くありません。
 難解さ、不思議感は少々薄らぎましたが、それでいて十二分にアーティスティックな時間。
 フランス勢を中心に、チェリストはドイツ人。
 静謐で悲し気、沈痛な感じもあるのですが、なぜか暗かったり、絶望的だったりはしません。
 フレンチ中心のバンドゆえ、あるいは現代の空気感ゆえでしょうか?
 白い壁、柔らかな明かりがある、人気の少ない現代美術の展示会が似合いそうです。
 Tarkovsky的かどうかについては他の人にお任せしますが、休日の午前~午後あたりにピッタリ合う音。
 穏やかで上質、かつ非日常的な時間が過ぎていくはず。
 たぶん。

 


posted by H.A.