“Theme to the Gaurdian” (1974) Bill Connors
Bill Connors (guitar)
Bill Connorsのアコースティックギター、ソロ作品。
ECMの縁も深いReturn to Foreverの“Hymn of the Seventh Galaxy” (1973)に参加し、脱退した後のECM作品。
なんだか複雑な流れですが、ECMでも“Love, Love” (1973) Julian Priester Pepo Mtotoあたりでやっていたハードフュージョンな演奏とは全く違う静謐な世界。
なんだか複雑な流れですが、ECMでも“Love, Love” (1973) Julian Priester Pepo Mtotoあたりでやっていたハードフュージョンな演奏とは全く違う静謐な世界。
バッキングをオーバーダビングした形ですが、アコースティックギター一色。
ECMのアコースティックギターといえばRalph Towner。
確かに音自体はいかにもECMの録音で似た感じですが、空気感は異なります。
1970年代のRalph Townerが激しさ、厳しさと優しさが交錯するイメージだとすれば、本作は静謐でピリピリした感じ、線が細くてより繊細な感じ。
さらに終始穏やか。
もちろんECM特有の低めの温度感ですが、Ralph Townerほどの冷たさ、鋭さはありません。
激しい場面は少なく、むしろ少し寂し気な空気感ですが、後の名作“Of Mist and Melting” (1977)の雰囲気、ヒタヒタと迫ってくるようなビート感が本作にもあります。
あのビートは、それに参加していたJack Dejohnetteの真骨頂なだけでなく、Bill Connorsの色合いなのでしょうね。
スパニッシュな感じの音の流れもあわせて、ヒタヒタ、ジワジワと迫ってくる緊張感。
本人のオリジナル曲は哀感漂うメロディ揃い。
シングルトーンを中心としたインプロビゼーションもとてもメロディアスで切なげなフレージングが映える音の流れ。
それでもさすがにアメリカン、哀感はあっても、どこかフォーキーでカラッとしています。
それらあわせて、ほどほど穏やかな淡い感じの緊張感。
次の名作“Of Mist and Melting” (1977)は、参加メンバーの色合いも加わり、寒風吹きすさぶような激しさが印象に残りますが、本作はあくまで穏やか。
柔らかな空気感の中、微かな寂寥感。
ちょうどジャケットのポートレートのような音です。
これはジワジワとくる隠れた名作でしょう。
posted by H.A.