“JC on the Set” (1993)、“Jurassic Classics” (1994) James Carter
James Carter (tenor, alto, baritone saxophone)
Craig Taborn (piano) Jaribu Shahid (bass) Tani Tabbal (drums)
ジェームス カーター
ゴリゴリサックスJames Carterのデビュー作。たぶん。
ぶっ飛んだ現代的モダンジャズ。
確かJoshua Redmanと同じ時期に出てきたのだと思うのですが、当時からArchie Shepp、David Murray大好きな当方としては、James Carterの方が好み。
というか、彼らに続く人がやっといたか・・・と思った記憶。
ゴリゴリベース、ビシバシゴラム、ガンガンゴンゴンピアノ。
そんな音を背景にして突っ走るサックス。
Archie Sheppに似た感じの少し歪んだような、それでいてなぜかとてもキレイな音。
艶やかさではDavid Murrayの方が勝るかもしれないけども、Ben Websterのサブトーンを大幅に減らして軽くしたような、これこそジャズのサックスな素晴らしい音。
フリーキーな音も使いながらも、ビートやコード、ジャズの枠組みからは大きくは逸脱しない安心感。
音がいいし、リズムへのノリは抜群だし、表現力は変幻自在。
ヤクザな感じで上品さには欠けるのかもしれないけども、その方がジャズっぽくてカッコいい、というか、ジャズのサックスはこうでなくっちゃね。
バンドが一体となってどこまでも突っ走っていくような心地よさ。
アグレッシブで激しいけども、どこを切ってもジャズが好きで仕方ないことが伝わってくる音。
ファンキーでブルージーなオリジナル曲に加えて、Don ByasにElligton、さらにSun Raなんて選曲はちょっとなかなか・・・
これ以上やり過ぎるとモダンジャズの枠組みからは外れてしまいそうなギリギリのサジ加減。
本作、最高の現代的モダンジャズだと思います。
本作から二十余年、他にもっといいのあったかなあ・・・?
同じメンバーでの一年後のセッション、続編“Jurassic Classics”はジャズ曲のカバー中心。
耳に馴染んだ楽曲からすればモダンジャズ度はさらに高いのですが、演奏はぶっ飛んでいます。
“Take the "A" Train”なんてもうグチャグチャ・・・というか、暴走列車。
これでもかこれでもかの最高の疾走ジャズ。
これがECM静音ジャズのCraig Taborn・・・?
ビートやコードを崩すわけではないので、基本的には整った演奏なのですが、その制約の中でどこまで暴れることが出来るか限界に挑戦するようなインプロビゼーション。
スタジオ録音ってな感じよりもライブそのままな感じ。
疾走感、ハチャメチャ感は“JC on the Set”よりもこちらの方が上でしょう。
もうこのくらいで勘弁してください・・・ってな感じ。
これはちょっとやり過ぎでしょう・・・と眉を顰めるか、もっとイケーっとワクワクするかは人それぞれでしょう。
私はもちろん後者のクチです。
あの時代の音として片づけてしまうにはあまりにも素晴らしい、ハイテンションなぶっ飛び現代的モダンジャズ。
こりゃ気持ちいいや。
posted by H.A.