“Caipi” (2017) Kurt Rosenwinkel
Kurt Rosenwinkel (acoustic & electric guitars, electric bass, piano, drums, percussion, synth, Casio, voice)
Ben street (bass) Andi Haberl (drums) Pedro Martins (voice, drums, keyboards, percussion) Eric Clapton (guitar) Alex Kozmidi (baritone guitar) Mark Turner (tenor saxophone) Chris Komer (french horn) Frederika Krier (violin) Kyra Garéy, Antonio Loureiro, Zola Mennenoh, Amanda Brecker (voice)
 
Caipi
Kurt Rosenwinkel
Razdaz
2017-02-10
カート・ローゼンウィンケル

 もう若手ではないのでしょう、コンテンポラリージャズギターの第一人者Kurt Rosenwinkelの最新作。 
 前作 “Star of Jupiter” (2012) はシンプルなギターカルテットでのロック色も強い作品でしたが、本作のイメージは少々異なります。
 いつものハードコアでハイテンションな質感、これでもかこれでもかと押し込んでくる感じはありません。
 またバンドでの演奏ではなく、ピアノ、ドラム、ベースも自身での演奏が中心、楽曲ごとにゲストを加える形。
 いきなりボサノバビートのタイトル曲。
 他にもブラジリアンな感じの曲が多く、フォークロック、現代的ロックな曲も何曲か。
 多くの曲でボイス、ボーカルがフィーチャーされます。
 メロディ自体は彼らしいウネウネ、ネトネトとしたねちっこいラインですが、全編ポップで明るいムード。
 柔らかいビート感と柔らかなボイスは“Still Life (Talking)” (1987)あたりのPat Methenyっぽい感じもありますが、それよりもちょっとハードで、もっとポップス寄り。
 前作“Star of Jupiter” (2012)ではプログレッシブロック色が強い感じでしたので意外な展開ではあるのですが、それをマイルドにして、ボサノバの色合いを加えて、ポップさを強調した感じ、といえばそうかもしれません。
 素直に考えば、前作は宇宙がテーマ、本作はブラジルがテーマってな感じでしょうかね?
 いずれにしても、バンドで現代ジャズを汗が噴き出すような演奏でドカーンと盛り上がって・・・ってな感じではなく、ボイスが前面に出た柔らかな楽曲中心。
 ジャズからの距離はさらに大きくなっているようにも思います。
 アコースティックギターも多用されていますが、もちろんエレキギターはいつものファットな音。
 ウネウネとどこまで続いていきそうなソロは随所にフィーチャーされ、それは他の人では聞けないハイテンションな音。
 一部で本人よる凄まじいピアノソロがあったり、盟友Mark Turnerのサックスもいい感じでバンドサウンドに溶け込んでいて、インプロビゼーションはたっぷり。 
 一曲に参加したEric Claptonは顔見せ程度ですかね。
 ボーカルはKurt Rosenwinkel本人が中心。
 ま、うまいわけではなさそうですが、いつものギターとのユニゾンのコーラスと同様にフワフワとした感じ。
 何曲かにフィーチャーされるPedro Martin、Eliane Elias の娘さんAmanda Breckerを含めたゲスト陣のさり気ないスキャットも幻想的でとてもいい感じ。
 ポップでコンパクトな演奏が揃っているのですが、その寄せ集めといった感じではなく、トータルアルバムとしてもキッチリまとまった感じの構成。
 最後は穏やかなバラード風ながらじわじわと盛り上がってドラマチックに、華やかに幕。
 最初に聞いた感じはアレレ?でしたが、何度か聞いていると、やはりKurt Rosenwinkelでなければできそうにない独特の色合い。
 とても聞きやすい感じなのですが、ほどほどにひねりが効いていて、やはりクリエイティブ。
 凄い作品のように思えてきました。
 ハイテンションでごっつい音楽の印象が強い人なのですが、こんなソフトな感じも気楽に聞けていいのかも。
 さて、次はどこに行くのでしょう?
 

 

posted by H.A.