“Rio” (Apl.2011) Keith Jarrett
Keith Jarrett (piano)
 
Rio
Keith Jarrett
Ecm Records
2011-11-08
キース ジャレット

 Keith Jarrett、2011年、ブラジルでのソロピアノ。
 本作も21世紀型のソロピアノ、短めの楽曲を次々と演奏していくスタイル。
 ブラジルのイメージ、ジャケットのムードから明るくて陽気かも・・・とはなりません。
 前半は重い感じです。
 やはり“The Carnegie Hall Concert” (Sep.26.2005), “Testament” (Oct.2008)と同じ感じの21世紀型か・・・と思いきや、CD二枚目に明るい演奏がたっぷりと収められています。

 冒頭、” Part 1”は甘いメロディを排したフリージャズ~現代音楽のような展開。
 ぶっ飛んだような激しい音。
 “Part 2”、ゆったりとしたテンポの中から美しいメロディが見え隠れするような展開となりますが、まだもどかし気に試行錯誤しているようにも聞こえます。
 続く“Part 3”は不思議なワルツ。
 ビートが入って音の流れが少しずつ軽快になっていきますが、左手が不思議なコードを奏で続け、重いムードは抜けません。
 “Part 4”でジャズバラード風の演奏、” Part 5”は“Treasure Island”(Feb.1974)風の軽快で明るいフォークロック。
 ようやく陽光が見えてきた感じですが、右手は軽快にメロディを奏でるものの、なぜか左手を中心とした重いムードはまだ抜けず、それは“Part 6”でも続きます。
 まだ上空の重々しい雲はなくなっていません。

 CD二枚目に入って“Part 7”は漂うようなムードのセンチメンタルなバラード。
 ここで重いビートが消えるとともに、メロディが明確になり、1970年代が想い起こさせるようなタメと高速なフレーズが交錯する素晴らしいインプロビゼーション。
 ようやく本当に陽光が差し始め、楽し気なワルツの“Part 8”を経て、得意の日本的な音階が散りばめられた雅な感じのバラード、とても美しい” Part 9”に展開します。
 この“Part 7”, “Part 8”,“Part 9”がこのステージのピークの一つでしょう。
 それを求めて試行錯誤し、ここで第一部が結実、完了したようにも聞こえます。

 それに安堵した?かのように”Part 10”から再び抽象的な音の流れが始まります。
 鬼神のような激しい演奏ですが、前半のような重さはなくなっているようにも感じます。
 軽快なブルース“Part 11”、思索的な“Part 12”を経て、もう一つのピークが“Part 13”。
 とてもセンチメンタルなメロディとタメと疾走の交錯。
 やはり1970年代 Keith Jarrettが戻ってきたかのような素晴らしい演奏。
 明るいフォークロックな“Part 14”から、最後はとてもセンチメンタル&ドラマチックな美しいバラード“Part 15”。
 ”Part 10”から第二部が始まり、“Part 13”, “Part 14”, “Part 15”の創造、またはゴールを目指して試行錯誤をしていたようにも思えます。
 とても素晴らしい、美しく前向きなエンディング。
 気が付けば空は晴れ渡り、ジャケットのような明るいムード。

 これが2010年代型 Keith Jarrettのソロピアノの形かも・・・と思っていましたが、次作“Creation” (2014)を聞く限りは、見事に読みを外しましたかね・・・




posted by H.A.