“Distances” (2007) Norma Winstone
Norma Winstone (vocal) 
Glauco Venier (piano) Klaus Gesing (soprano sax, bass clarinet)
 
Distances (Ocrd)
Norma Winstone
Ecm Records
2008-05-27
ノーマ ウインストン

 Norma Winstone、新バンドでのECM復帰第一作。
 同じメンバー、別レーベルで”Chamber Music” (2002)といったアルバムもあるようです。
 “Stories Yet To Tell” (2009)、”Dance Without Answer” (2012)と名作が続く端緒。
 編成は、管楽器は違えど、名作“Azimuth” (Mar.1977)、“Somewhere Called Home”と同じピアノを中心としたトリオ。
 ピアノは長年の相方John Taylorではなく、イタリアのGlauco Venier
 鋭利なイメージのJohn Taylorに対して丸みを帯びた音。
 妖しさはあまり感じない、美しい音。
 零れ落ちるような繊細な音から、しっとりとした音、グルーヴに乗った演奏まで、何でもできそうなタイプ。
 ドイツのリード奏者Klaus Gesingも同じように、妖しさはほどほど、これまた何でもできてしまいそうなタイプ。
美しいピアノが作る背景と彩を加えるリード。
 静かな空間を駆け巡るようなソプラノサックスもさることながら、バスクラリネットが鳴ると、変わった音を使うわけではないのに別世界に連れていかれそうな妖しいムード。
 そんな音を背景にして、いつもながらの少し沈んだしっとりとしたボイス。
 “Azimuth” (Mar.1977)の頃と比べても変わらないようにも思えるし、さらにしっとりした感じもするし、何よりも優しくなったように感じます。
 ピアノが作る空気感の違いも大きいのかもしれません。
 楽曲はオリジナルのバラード中心にスタンダードを少々。
 何を演奏しようが歌おうが空気感は変わりません。
 ヨーロピアン・クールネスと不思議な温かみが混ざり合い漂う空気。
 この人ぐらい冬の終わりに合う音は少ないのではないでしょうか。
 ひんやりとしていて静的なのだけども、なぜか暖かな空気。
 かつての名作“Azimuth” (Mar.1977)、“Somewhere Called Home” (1986)も、そして本作も今の季節にピッタリの音。
 同質の名作“Stories Yet To Tell” (2009)、”Dance Without Answer” (2012)へと続きます。




posted by H.A.