Rubicon (2015) Mats Eilertsen
Mats Eilertsen (double bass)
Harmen Fraanje (piano, Fender Rhodes) Thomas Dahl (guitar) Rob Waring (vibraphone, marimba) Olavi Louhivuori (drums)
Eirik Hegdal (clarinet, bass clarinet, soprano, baritone sax) Trygve Seim (soprano, tenor sax)
 
MATS EILERTSEN ENSEMBL
RUBICON
ECM
2016-07-29
マッツ・アイラーツェン

 ノルウェーのベーシストMats Eilertsen のECMリーダー作。
 同じくノルウェーのTord Gustavsenバンドの人、また“Sideways” (2006) Jacob Young、“Post Scriptum” (2010) Wolfert Brederodeなど、ノルウェー系でなくともよく見かける人で、現代のECMのハウスベーシストの一人。
 近年のノルウェー代表?、ECMのハウスサックス奏者?、21世紀のJan Garbarek?、Trygve Seimもお約束のように参加しています。
 ドラムのOlavi Louhivuoriは“Dark Eyes”(2009)Tomasz Stanko, “The Gift” (2012) Susanne Abbuehlに参加していた若手。
 他のメンバーは初めて見る名前です。
 バンドの人数は多いのですが、静謐な音。
 いかにもノルウェー、いかにも近年のECM的な淡くて優しく、少々妖しい音。
 全曲Mats Eilertsenの寂寥感の漂うオリジナル曲、淡い色合いのメロディ。
 Tord Gustavsenほど沈痛ではなく、寂寥感はそのままに、淡くて穏やかな音。
 スローテンポが中心ですが、ビート感は複雑でいかにも現代的。
 全編を通じた穏やかで柔らかなグルーヴ。 
 シンプルでスッキリとしているようで凝ったアンサンブル。 
 ミディアムテンポの強めの変拍子の後ろで、サックスがゆったりとした音を出すことでビート感が穏やかに・・・なんて感じ。
 いろんな楽器が前面に出たり背景に下がったりしながらのアンサンブルで、全体の質感が穏やかで静謐な表情、いい意味で気怠い雰囲気、あるいはクールに仕上がっているように思います。
 ピアノのHarmen Fraanjeが繊細で素晴らしい音。
 オランダ出身、リーダーと同じく40歳前後の中堅のようですが、ECMではこれが初めての録音のようです。
 線が細めの美しい音、派手ではないけどドライブ感がある音使い。
 スケールアウトを多用する感じですが、それでも美しいフレージング。
 近いうちにECMからリーダー作が出るのではないかな?
 ギターのThomas Dahlも同世代、ノルウェー出身。
 鋭いようで艶やかな音、ジャズ的フレーズとロック的なフレーズが交錯するいかにも現代的なギター、ECMのJakob Broをもう少しロック寄りにした感じでしょうか。
 多くの場面で前面に出るわけではありませんが、とてもいい感じ、この人もそのうちに・・・?
 他のメンバーもそれぞれに素晴らしい演奏。
 リーダーのベースも含めて誰が前面に出るわけでなく、繊細なアンサンブルを全員で構築しています。
 一聴地味なようで、繰り返し聞けば聞くほど味が出てくる感じの音。
 BGMで流れていても邪魔にならず、上質な空気感ができる音。
 それでいて現代的なクリエイティブが詰め込まれていそうな音。
 これまた現代の北欧的な音、現代のECMの音。
 とてもさりげなくて、とても素敵な一作です。
 
 


posted by H.A.