“The Jewel in the Lotus” (Mar.1974) Bennie Maupin

Bennie Maupin (saxophones, flute, bass clarinet, voice, glockenspiel)

Herbie Hancock (acoustic, electric pianos) Buster Williams (bass) Billy Hart (drums) Freddie Waits (drums, marimba) Bill Summers (percussion)

Charles Sullivan (trumpet)
 

The Jewel in the Lotus
Bennie Maupin
Ecm
ベニー モウピン






 Herbie Hancock、さらに番外編・・・ってなことではないですが。

 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davis~“Head Hunters” (Sep.1973)のメンバーBennie Maupin、唯一のECM作品。

 “Head Hunters” (Sep.1973) 以前のHerbie Hancockバンドの主力メンバー、“Mwandishi” (Dec.1970),“Crossings” (Feb.1972),“Sextant” (1972) Herbie Hancockあたりと近いメンバーでのセッション。

 ニューヨークでの録音、元のジャケットデザインなど、ECMっぽくはない部分もあるのですが、プロデューサーはManfred Eicherです。 

 “Head Hunters” (Sep.1973) の録音は既に終わっている時期のようですが、さすがにECM、ポップさが前に出ることはありません。

 Herbie Hancockのピアノを、あの紛うことなき1970年代ECMの透明度の高い硬質なサウンドで聞ける唯一の作品というのも貴重でしょう。
 が、全体的にはあの超ハイテンションなキツい感じではなく、穏やかなサウンド。 

 ポスト“Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davis以降のジャズファンクを模索していた上記の諸作に近いムードですが、とんがっていない、洗練された音。
 さらに、浮遊感が強く、優しい音。

 ECMの真骨頂、ルバートでのスローバラードも数曲収められています。

 途中の妖しいボイスの囁き~フリージャズ的な楽曲を除けば、暗さ、深刻さもあまりなく、心地よい音の流れが続きます。

 ビートがとても柔らかくてしなやか、緩すぎずキツ過ぎずのいい感じのグルーヴ。

 “Head Hunters” のPaul Jackson, Harvey Masonはファンクな名コンビですが、彼らではこの感じにはならななかったのでしょうし、ECMでの制作もなかったのでしょう。

 全曲Bennie Maupinの楽曲ですが、Herbie Hancock的な洗練されたクールさがそこかしこにが漂っています。

 反面、1970年代ECM特有の緊張感や厳しさは薄いのですが、それもお好みでしょう。

 また、インプロバイザーBennie Maupin、Herbie Hancockが前面に出ることはあまりなく、“Bitches Brew”的な妖しさもほどほど。

 淡い色合いのアンサンブル中心、強烈な浮遊感の穏やかな音。

 全編通じていい感じで、このままECMで制作が続くと大名作が出来た予感があるのですが、このバンドとECMのコラボレーションはこの作品のみで終了。

 “Head Hunters”が大ヒットしちゃったので仕方ないですかね。

 世の中うまくいっているような、そうでもないような・・・

 



posted by H.A.