“Mockroot” (2014) Tigran Hamasyan
Tigran Hamasyan (Piano, Keyboards, Sound Effects, Synthesizer, Vocals)
Sam Minaie, Chris Tordini (Bass) Arthur Hnatek (Drums, Electronics) Nate Wood (Drums) 
Ben Wendel (Saxophone) Gayanée Movsisyan, Areni Agabian (Vocals)
 
Mockroot
Tigran Hamasyan
Nonesuch
2015-02-03
ティグラン・ハマシヤン

 アルメニア出身のピアニストTigran Hamasyan、"Shadow Theater" (2013)に続く、アルメニアン・プログレッシブロック・ジャズってなアルバム。
 ECMからの最新作“Atmospheres” (Jun.2014)の前月の録音のようです。
 “Liberetto” (2012)、“Liberetto II” (2014) Lars Danielssonなどの客演ではスーパーなジャズピアニストですが、リーダー作ではジャズの枠組みには収まらないすごい音楽。
 コアメンバーは前作"Shadow Theater"と同じ、音楽的にも近い感じでしょう。
 幻想とエスニックムードが絡み合うハードなプログレッシブロック・ジャズ、ここに極まれり、ってな感じ。
 冒頭から幻想的なボイスに導かれるイントロダクション。
 何拍子か分からない、どこでブレークが入って切り返すか予想できない強烈で複雑なビートが入って、不思議感が漂うメロディのエスニックテイスト全開、ロックなジャズ。
 ゲストが要所で入るものの、基本的にはピアノトリオ+ボイスなのですが、そうとは思えない重厚な音作り。 
 妖しげなムードを醸し出すアルメニアン?トラディショナル曲をはさみながら、これまた妖しげでハードなオリジナル曲が並びます。
 ヘビーな変拍子、押し寄せてくるようにビートが次々と変わっていくのは、初期の“New Era” (2007)の一部の曲からの手法。
 少し沈んだテイスト、中世的、エスニックなメロディと、目くるめくように展開する複雑でヘビーなビート、複雑な展開。
 とてもドラマチックです。
 ちょっと聞きでは重々しく深刻で勇ましい系、演奏も激烈ですが、ここまでの彼の作品通り、陰鬱でも沈痛でもなく、カラッとした空気感。
 これが彼の頭の中で鳴っていた音、ここまでの集大成なのでしょうね。
 ジャズファンとしてはどこまでもカッ飛んでいくスーパージャズピアニストTigranを聞きたくともあるのですが、あのピアノのジャズ的な強烈なインプロビゼーションの場面は少々のみ。
 それだけでカッコいい作品が出来てしまうはずなのですが、それはやりたいことでは無いのでしょう。
 前々作“A Fable” (2010)、前作"Shadow Theater" (2013)は、Verveレーベルからでしたが、本作は曲者、クリエイティブ系も揃っていたNonesuchから。
 さすがにVerveでは手に余りましたか・・・
 ・・・かどうかはわかりませんが、さらに今はECMに移籍、作風は完全に変わっています。
 現状の所、ハードでヘビー、激烈でアルメニアンエスニックな変拍子切り替わり型プログレッシブロック・ジャズのTigran Hamasyanの最近作にして、おそらく集大成。




posted by H.A.