“Selflessness: Featuring My Favorite Things” (Jul.1963,Oct.1965) John Coltrane
<Jul.1963>
John Coltrane (tenor saxophone)
McCoy Tyner (piano) Jimmy Garrison (bass) Roy Haynes (drums)
<Oct.14.1965>
John Coltrane (tenor saxophone)
Pharoah Sanders (tenor saxophone) Donald Garrett (bass clarinet, double bass) McCoy Tyner (piano) Jimmy Garrison (bass) Elvin Jones, Frank Butler (drums) Juno Lewis (vocals, percussion)
 
Selflessness Featuring My Favorite Things
John Coltrane
Impulse Records
ジョン・コルトレーン


 John Coltrane、大人気の“My Favorite Things”バージョンを含むライブアルバム
 いろんなバージョンがありますがやはりこれがベストに異論ありません。
 よく言われるようにRoy Haynesの軽快なドラムが効いていて、重量級のメンバーの重量級の音をいい感じで緩和しているからでしょうかね。
 パタパタと断続的に鳴るスネアが心地よく聞こえます。
 Elvin Jonesだとちょっと重く、もっと激しくなって、Coltraneカルテットらしいのですが、これはお好み次第。
 激しさはほどほどの方が一般受けはする、といったところでしょうか。
 確かにいつもの演奏よりもベースがしっかり聞き取れるし、サックスのソロもスッキリした感じ、ひたすら続くピアノの同じリフが誘う陶酔感もこのバージョンが一番強いかもしれません。
 とても激しい演奏ですが、聞いていると心地よく眠れそう・・・
 “I Want to Talk About You”も決定的な“Live at Birdland” (Oct.Nov.1963)のバージョンに劣ることのない文句なしの名演。

 それらは安心して聞ける名演ですが、さらに興味深いのがOct.14.1965の激烈フリーの入り口の時期の演奏"Selflessness"。
 “First Meditations” (Sep.2.1965)は激烈ながら普通にジャズ、その同月末からの“Live in Seattle” (Sep.30.1965)、“Om” (Oct.1.1965)は激烈フリージャズ。
 そこを通過したタイミング、“Kulu Sé Mama” (Oct.14.1965)の同セッション。
 確かに“Kulu Sé Mama”していますが、それよりも穏やかなムード、心地よくバウンドする4ビートでよりジャズ的な雰囲気。
 サックスは激しく、途中からグシャグシャになり絶叫系の激烈フリーになりますが、その時間は長くなく、その後の軽快に疾走するMcCoy Tynerがカッコいい演奏。
 サックスが戻るとまた絶叫になりますが・・・
 混沌と調性のバランスが取れた結構な名演、“Kulu Sé Mama”のB面にカップリングして出せばよかったように思うのだけども、その期では没になったのは何故?が気になります。
 レコード会社としてはLP両面が激烈だと売れないと判断したのか、さて・・・?
 この演奏くらいの”一部”絶叫系激烈フリーなら楽に楽しめるんだけどなあ・・・




posted by H.A.