“Ascension” (Jun.28.1965) John Coltrane
John Coltrane (tenor saxophone)
Freddie Hubbard, Dewey Johnson (trumpet) Marion Brown, John Tchicai (alto saxophone)  Pharoah Sanders, Archie Shepp (tenor saxophone)
McCoy Tyner (piano) Art Davis, Jimmy Garrison (bass) Elvin Jones (drums)
 
Ascension: Editions I & II (Reis) (Rstr)
John Coltrane
Verve
ジョン・コルトレーン


 John Coltrane、激烈フリージャズの事始め。
 この先の演奏が全てフリージャズではありませんし、本作でもリズム隊は定常な4ビートを出しています。
 Elvin Jonesもドラムソロ状態の場面も多いのですが、この前後のアルバムとそう大きく変わった演奏をしているわけではないと思います。
 フロント陣の激しい集団即興にしても、その場面も各人の音に耳を傾けてみると特別に変わった音を出しているわけではないように思います。
 キチンとテーマ~順に一人ずつのソロ回しといったジャズの流儀に乗っ取った展開で、特にトランペット陣は端正だったりもします。
 ピアノソロなどは、まんまいつものこのバンドのMcCoy Tyner。
 最も変わった音を出しているのがJohn Coltraneをはじめとするテナーサックス陣。
 ピーとかギーとかギャーとかギュルギュルギュルとか、そんな感じ。
 聞き慣れたフレーズは出てくるのですが、フレーズを紡いでインプロビゼーションを組み立て行くといった感じではなく、ひたすら激情を吐露していく、そんな感じ。
 鬼気迫るというか、常軌を逸したというか、ちょっと怖い後々の激烈フリーのColtraneサウンド。
 前後の作品を並べてみると突然変異のようにも聞こえますが、本作を含めてPharoah Sandersが参加した作品が少し異質で、彼が発火剤になってJohn Coltraneが変化するようにも思えます。
 Edition IのColtraneのソロなどは決して怖くないのですが、Edition IIはちょっと怖いかも・・・凄いけど。
 あくまで4ビートジャズなのですが、これを調性が取れたジャズが好きな人に勧めるのは無理でしょう。
 この大音量の激しい音の洪水を浴びることを気持ちいいと思うか、あるいは激情がほとばしる魂の叫びのような音を聞きたいか否かで評価はわかれるのででしょう。
 賛否両論あるのもさもありなん。

〇:Pharoah Sanders参加作品
 “Crescent” (Apl.Jun.1964)
 “A Love Supreme” (Dec.1964)
 “Live at the Half Note: One Down, One Up” (Mar.26.May.7.1965)
 “The John Coltrane Quartet Plays” (Feb.17-18, (Mar.28.),May.17.1965)
 “Transition” (May26.Jun.10.1965)
〇“Ascension” (Jun.28.1965)
 “New Thing at Newport” (Jul.2,1965)
 “Sun Ship” (Aug.1965)
 “First Meditations” (Sep.2.1965)
〇“Live in Seattle” (Sep.30.1965)
〇“Om” (Oct.1.1965)
〇“Kulu Sé Mama” (Jun.10.16,Oct.14.1965)
〇“Selflessness: Featuring My Favorite Things” (Jul.1963,Oct.14.1965)
〇“Meditations” (Nov.1965)
〇“Live in Japan” (Jul.1966)
〇“Offering: Live at Temple University” (Nov.1966)
〇“Expression” (Feb.Mar.1967)
〇“Stellar Regions” (Feb.15.1967)
 “Interstellar Space” (Feb.22.1967)
〇“The Olatunji Concert: The Last Live Recording” (Apl.23.1967)




posted by H.A.