“Coltrane” (Apl.Jun.1962) John Coltrane
John Coltrane (soprano, tenor saxophone)
McCoy Tyner (piano) Jimmy Garrison (bass) Elvin Jones (drums)
 
Coltrane (Reis) (Rstr) (Dig)
John Coltrane
Verve
ジョン・コルトレーン


 John Coltrane、Impulseに移籍し、メンバーが固まった第一作。
 ここまでは大人数だったりライブ録音だったりしますので、黄金のカルテットで落ち着いて作った初めての作品。
 このカルテットのみでのスタジオ録音の公式作品は決して多くは無くて、次はメンバーはカルテットですが、これまた変則な“Ballads” (Dec.1961,Sep.1962,Nov.1962)シリーズ。
 カルテットでColtraneの音楽を演奏した次の作品は“Live at Birdland” (Oct.Nov.1963)。
 ま、一年に一作出していれば十分に多いのかもしれませんが。
 ベースにReggie Workmanが入っているとちょっと重い感じが、Jimmy Garrisonだけになると軽快になっているようにも思います。
 ハイテンションなモーダルジャズは"Out of This World"に"Miles' Mode"、バラードにMal Waldronの"Soul Eyes"と代表曲も揃っています。
 Coltraneの音楽の端正に端的にまとまったのが本作ともいえるのでしょう。
 後の“A Love Supreme” (Dec.1964)などが代表作だろうし、それに比べれば少々リラックスしたムード。
 それでも普通のジャズと比べればハイテンションで緊張感の強い音楽。
 もちろん1950年代ハードバップなムードはこの時点ではすっかりなくなり、Coltraneカルテットならではのハードなモードジャズ。
 Miles Davisは"In Person Friday and Saturday Nights at the Blackhawk"(Apl.1961)、“Seven Steps to Heaven”(Apl.May.1963)あたりで、まだまだハードバップの香りの強い演奏を続けていた時期なので、Coltraneの方が少し先に進んでいた、ってな感じのとらえ方もあるのでしょうか?
 冒頭、静かに立ち上がる"Out of This World"、徐々に熱を上げ、どこまでも続いていくようなテナーサックスと陶酔感を誘うビート。
 続いて高揚した気持ちをなだめるようなバラード"Soul Eyes"。
 ってな感じのColtrane定番の展開がここで出来上がっています。
 後のアルバムを聞いてしまうと、ちょっと緩くて・・・なんてことで忘れられたアルバム?になっているのかもしれませんが、気楽に聞けるのがいい感じ、な一作。




posted by H.A.