“Africa/Brass Vol.1,Vol.2” (May.Jun.1961) John Coltrane
John Coltrane (soprano, tenor saxophone)
McCoy Tyner (piano) Reggie Workman (bass) Elvin Jones (drums)
Booker Little (trumpet) Julius Watkins, Bob Northern, Donald Corrado, Robert Swisshelm (french horn) Bill Barber (tuba) Pat Patrick (baritone saxophone) Freddie Hubbard (trumpet) Julian Priester, Charles Greenlee, Carl Bowman (euphonium) Jim Buffington (french horn) Garvin Bushell (piccolo, woodwinds) Paul Chambers, Art Davis (bass) Britt Woodman (trombone) Eric Dolphy (alto saxophone, bass clarinet, flute)
 
Africa Brass Vol 1 & 2 Sessions
John Coltrane
Universal UK
ジョン・コルトレーン


 John Coltrane、Impuseでの第一作、大編成でのビッグバンド的な作品。
 Miles Davisの1960年ヨーロッパでのライブ録音、あるいは” Someday My Prince Will Come” (Mar.1961) Miles Davisではオーソドックスなジャズの中では居心地の悪そうな演奏。
 どこまでも続いて行きそうな、ハイテンションでモーダル、鬼気迫るような演奏は、その期の優雅なMiles Davisの音楽には合っていないような、だからカッコいいような。
 “E.S.P.”(Jan.1965)以降のクールなムードに合うイメージは、さてどうでしょう。
 凄い音楽になりそうだけど。
 ここからのJohn Coltraneは、同じ時期のMiles Davisとは全く異なる、彼にしかできない特別な世界。
 ヘビーで激しいモードジャズ。
 ポリリズミックなビートにシンプルなリフ、コードがひたすら繰り返される呪術的ムード。
 徐々に音量とテンションが上がっていく音の流れが高揚感と陶酔感を誘います。
 本作はタイトル通りのAfrica、あるいはSlaveがテーマだったのでしょう。
 ダークで深刻で、情念が前面に出る音。
 ヘビーで沈痛で、エキサイティングな音。
 重厚なホーンのアンサンブルがそのムードを助長します。
 フロントに立つColtraneのソロもこの頃から情念の塊のような音。
 あくまでメロディが先に立つようなSonny Rollinsあたりと好みが分かれるのもわかるような気がします。
 Vol.1はLPレコード片面を占める長尺で重厚なタイトル曲に、お約束のハイテンションジャズワルツでの”Greensleeves”にブルース。
 Vol.2はタイトル曲、”Greensleeves”の別テイクに、こちらはハイテンションモーダルなカッコいい演奏。
 Vol.2はアウトテイク集?なのかもしれないけども、どちらのバージョンもカッコいい。
 アレンジはEric Dolphyのようですが、彼のサックスが前面に出る場面が無いのは少々残念なところ。
 ヘビーでダークで激しいImpulseのColtrane始動にふさわしい重厚な一作。




posted by H.A.