“Drumfree” (2010) Wolfgang Muthspiel, Andy Scherrer, Larry Grenadier
Wolfgang Muthspiel (Guitar)
Larry Grenadier (Bass) Andy Scherrer (Saxophone)
 
Drumfree
Wolfgang Muthspiel
Imports
2011-04-12
ウォルフガング・ムースピール

 オーストリアのギタリストWolfgang Muthspiel、タイトル通りドラムレスのコンテンポラリージャズ作品。
 ドラムレス、ビートを落として漂うようなルバート的なスローバラード演奏もありますが、多くが定常なビート。
 テンポが上がると、さすがのLarry Grenadierのウッドベースのグルーヴがカッコいいのでですが、バラードが中心で穏やかな印象。
 かつてのこの人の色合いからすれば、もっと浮遊感が強いフリー混じりの演奏になってもよさそうですが、オーソドックスな色合いが強いコンテンポラリージャズ。
 エフェクティングのないオーソドックスなクリーントーンのエレキギターとRalph Townerのような瑞々しい音のガットギター。
 フレージング、音使いも心なしかオーソドックス。
 若かりし日の演奏に感じたJohn Scofield的なひねったブルース感は無くなりましたかね?
 楽曲も全曲オリジナルなのだと思いますが、落ち着いた色合い、ほのかな哀愁が漂う優しいメロディが並びます。
 連綿としたバラードもあったり、かつてのこの人の作品からは想像できない音作り。
 ベーシストはずっと一緒にやっているLarry Grenadierなので、こちらの方が無理の無い日常の音、今の音なのかもしれません。
 サックスもこれまたオーソドックス。
 毒気を期待すると拍子抜けしてしまいますが、落ち着いた室内楽的、現代的なジャズトリオとしては悪くないアルバム。
 すっかり大人になってしまいました。
 この路線がECM作品"Driftwood” (2014) 、最新作“Rising Grace” (2016)に続いているんでしょうね。




posted by H.A.