“Drumfree” (2010) Wolfgang Muthspiel, Andy Scherrer, Larry Grenadier
Wolfgang Muthspiel (Guitar)
Larry Grenadier (Bass) Andy Scherrer (Saxophone)
ウォルフガング・ムースピール オーストリアのギタリストWolfgang Muthspiel、タイトル通りドラムレスのコンテンポラリージャズ作品。
ドラムレス、ビートを落として漂うようなルバート的なスローバラード演奏もありますが、多くが定常なビート。
テンポが上がると、さすがのLarry Grenadierのウッドベースのグルーヴがカッコいいのでですが、バラードが中心で穏やかな印象。
かつてのこの人の色合いからすれば、もっと浮遊感が強いフリー混じりの演奏になってもよさそうですが、オーソドックスな色合いが強いコンテンポラリージャズ。
エフェクティングのないオーソドックスなクリーントーンのエレキギターとRalph Townerのような瑞々しい音のガットギター。
フレージング、音使いも心なしかオーソドックス。
若かりし日の演奏に感じたJohn Scofield的なひねったブルース感は無くなりましたかね?
楽曲も全曲オリジナルなのだと思いますが、落ち着いた色合い、ほのかな哀愁が漂う優しいメロディが並びます。
連綿としたバラードもあったり、かつてのこの人の作品からは想像できない音作り。
ベーシストはずっと一緒にやっているLarry Grenadierなので、こちらの方が無理の無い日常の音、今の音なのかもしれません。
サックスもこれまたオーソドックス。
毒気を期待すると拍子抜けしてしまいますが、落ち着いた室内楽的、現代的なジャズトリオとしては悪くないアルバム。
すっかり大人になってしまいました。
この路線がECM作品"Driftwood” (2014) 、最新作“Rising Grace” (2016)に続いているんでしょうね。
posted by H.A.