“Perspective” (1996) Wolfgang Muthspiel
Wolfgang Muthspiel (Guitar, Violin)
Marc Johnson (Bass) Paul Motian (Drums) 
 
Perspective
Wolfgang Muthspiel
Amadeo
ウォルフガング・ムースピール

 オーストリアのギタリストWolfgang Muthspiel、自身でバイオリンも弾いたフリージャズも混ざる作品。
 これはカッコいい。
 特に前半はこのままECMから出ていてもおかしくない、クリエイティブでハイテンションなコンテンポラリージャズ。
 冒頭から10分を超えるハイテンションなインタープレー。
 Paul Motianの叩き出す浮遊感の強いフリーなビートと、背景を作るベースのアルコの上を漂う、もの悲しいメロディを奏でるバイオリン。
 さらにオーバーダビングされたバイオリンの優雅な音とディストーションを掛けたギターの激しい音が交錯する激しくもドラマチックな構成。
 中盤、ビートが落ちて幻想的な世界から、再度登場するバイオリンの奏でる悲し気なメロディ~そのまま静かにエンディング。
 これは凄い。
 ビートはフリーですが、決して難解ではないドラマチックな素晴らしい演奏。
 バイオリンの演奏も手練れていて、さすがクラシックの本場のオーストリアの人。
 この感じが続くか?と思いきや、そんな演奏は冒頭のみ。
 バイオリンの導入もあと二曲のみ。
 続くはガラッと変わって、Ralph Townerっぽい導入から始まる、瑞々しいガットギタートリオによる4ビート。
これまた10分超えのハイテンションな演奏。
 以降、カントリーっぽい明るい4ビートやら、スムースな速弾きギターが映えるコンテンポラリージャズ、はたまた穏やかだけどBill Frisell風不思議感満載のギタートリオ、などなど・・・
 楽曲ごとの質感に幅があるのが、いかにもこの人の作品の特徴ですね。
 バイオリンがフィーチャーされるハイテンションな演奏ではMarc Johnsonもアルコを多用して、何だかクリエイティブなコンテンポラリージャズ。
 最後は4ビート、あの “Nefertiti”の変奏ブルース。
 John Scofieldっぽいブルージーなタメの効いたジャズギタートリオで締め。
 一体この人は・・・?
 カッコいいけど。

※この作品の音源が無いのでガットギターでのソロでも・・・


posted by H.A.