“Black & Blue” (1992) Wolfgang Muthspiel Sextet
Wolfgang Muthspiel (Guitar)
Larry Grenadier (Bass) Alex Deutsch (Drums) Don Alias (Percussion)
George Garzone (Saxophone) Tom Harrell (Flugelhorn)
 
Black & Blue
Wolfgang Muthspiel
Polygram Records
1993-04-20
ウォルフガング・ムースピール

 オーストリアのギタリストWolfgang Muthspielの若き日のアルバム。
 年齢的にも、世に出たのも、現代ギターのドンKurt Rosenwinkelよりも少々先輩になるのでしょう。
  “A Distortion Of Love” (1992) Patricia Barber、“Magic Labyrinth” (1995) Marc Johnson's Right Brain Patrolといった知る人ぞ知るマニアックでカッコいい作品に参加していた時期。
 フリージャズな作品もあったと思いますが、ここではこの人のイメージ通り、少々ダークで、妖し気なムードが漂うコンテンポラリージャズ。
 難解な方向には行っていません。
 冒頭の”Dance”からクールな質感のグルーヴに乗って、ジャズとロックが交錯する凄いギターソロ。
 コーラスかディレイかフェイザーが効いたクリーントーンがとても心地いい音。
 ソロになるとディストーションも使っていますが、それでもとてもキレイな音。
 インプロビゼーションの起承転結はしっかり見えるし、個々のフレージングはちょっと変わった感じが妖しくてカッコいいし、要所での加速感と疾走感、細かいところの音の締め方、メリハリまで完璧。
 決して派手ではないのですが、凄いギタリスト。
 エレキギターはJohn Scofieldからブルース色を薄くしてよりスムースにいた感じ、ガットギターはRalph Towner的なイメージ。
 サポートのビッグネームなホーン陣もさすがの好演。
 パーカッションもいい感じで効いています。
 ちょっと音を出しただけでもタダ者ではない感の漂うエキサイティングでカッコいい演奏揃い。
 超高速アコースティックギターやら、スパニッシュなムードのギタートリオやら、”Miles”といったタイトルの、けだるくかつ激しいバラードやら、緊迫感のあるファンク、素直な4ビート、などなど。
 カッコいい演奏が並んでいます。
 楽曲のメロディが抽象的で愛想が無いし、エキサイティングな演奏が多いのですが、バンド全体がドカーンとくる感じでもないので、地味な印象で損をしているような感じもありますが、その分クールです。
 現代のコンテンポラリー系人気ギタリストKurt RosenwinkelGilad Hekselmanの諸作とは雰囲気が違い、もっとジャズに近い感じなのは、サポートのメンバーを含めて世代が違うからでしょうか?
 それとも時代感でしょうか?
 いずれにしてもクールな質感のコンテンポラリージャズの佳作。
 隠れた名作、名演の一つだと思います。




posted by H.A.