“Tutu” (Jan.-Mar.1986) Miles Davis
Miles Davis (trumpet)
Marcus Miller (bass guitars, guitar, synthesizers, programming, bass clarinet, soprano sax, other instruments)
Jason Miles (synthesizer programming) Adam Holzman, Bernard Wright (synthesizers) George Duke (instruments) Michał Urbaniak (electric violin)
Omar Hakim, Jabali Billy Hart (drums, percussion) Paulinho da Costa, Steve Reid (percussion)
 
TUTU
マイルス・デイヴィス




 Miles Davis、Marcus Millerをプロデュース、サウンドメイキングに起用したダークなムードのファンクフュージョン。
 出来上がりまでMiles本人が立ち会ったといった意味では、本作と次作“Amandla” (Dec.1988-1989)が事実上の最後の作品グループと考えるのが妥当なのでしょう。
 デジタル色がさらに強くなり、良くも悪くもカチッとしたゴージャスな音作りになっています。
 終始ゆったりしたムードですが、いかにもな現代的なファンク。
 復帰作“The Man with the Horn” (Jun.1980–May.1981)以降、1970年代の“Agharta”、“Pangaea”(Feb.1.1975)のようなズルズルグチョグチョしたファンクではない洗練された色合いでしたが、ここではさらに洗練され、人工的、あるいはプラスチックなムードさえ漂っています。
 おまけにオシャレ。
 都会の夜のバー、クラブにピッタリ合いそうなスタイリッシュでクール、ゴージャスなムード。
 現代的、都会的な哀愁を漂わせたMarcus Millerのクールネスと、1940年代から変わらないMilesの哀愁とクールネスの合わせ技、スパニッシュムードも少々。
 決して分厚い音ではないのかもしれませんが、少々ヘビーで、音の密度型が高い感じが豪華さも醸し出します。
 George Duke、あるいは当時流行ったポップバンドScritti Polittiそのままの演奏も含めて、当時の「粋」を一手に集めたような構成。
 そんな「時代の音」を背景にして、事実上のリード楽器はトランペットのみ。
 ミュートを中心に最初から最後まで吹きまくり。
 とても大胆なアートワークも含めて、1940年代から、その時代々の「粋」を体現していたのがMiles Davisだったことを想い起こさせる一作。
 1980年代の粋、とてもオシャレです。




posted by H.A.