“The Man with the Horn” (Jun.1980–May.1981) Miles Davis
Miles Davis (trumpet)
Barry Finnerty, Mike Stern (guitar) Marcus Miller (bass) Al Foster (drum) Sammy Figueroa (percussion)
Bill Evans (soprano sax) 
Robert Irving III (Yamaha CS30 synthesizer, piano) Randy Hall (synthesizer, guitar, celeste, Moog synthesizer, vocals) Felton Crews (bass) Vincent Wilburn (drums)
 
Man With the Horn
Miles Davis
Sbme Special Mkts.
1981-03-01
マイルス・デイビス

 “Agharta”、“Pangaea” (Feb.1.1975)までと思っていましたが、一気に最後まで。
 
 Miles Davis、長期休養からの復帰第一声。
 私的にはこの時代、まだロック小僧で、時代感は全くわかりませんが、ジャズファンの人からすれば神の復活みたいな感じだったのでしょうかね?
 現代からするとそれほど人気作ではないのかもしれませんが、聞き直してみるとこれが気骨溢れるジャズ的な作品。
 Miles御大の作品なのだから当たり前ですか。
 二つのバンドから構成され、“Agharta”、“Pangaea”(Feb.1.1975)と近い楽器編成のジャズフュージョンバンドと、Milesの甥にあたるVincent Wilburnとそのバンド仲間Robert Irving IIIを中心とした新しい世代のファンクフュージョンバンド。
 同じような編成ながら“Agharta”、“Pangaea”(Feb.1.1975)とは全く雰囲気は異なります。
 冒頭はMarcus Millerのヘビーなベースが先導する、スパニッシュの香りも漂うミディアムテンポのファンク。
 バウンドするようなグルーヴ、極めて現代的でスッキリと洗練された音。
 録音がデジタルに移行したこともあるのでしょうが、かつてのグシャグシャドロドロしたムードはありません。
 そんな音を背景にMilesはワウワウを使わず、あの探るようなミュートサウンド。
 ギターもディストーションを掛けたジミヘン風ロックギターですが、ずいぶんスッキリしています。
 Bill Evansのソプラノサックスも本作では柔らかいムード。
 こちらのバンドは、極めて洗練されたファンクフュージョンであるものの、なんだかんだでまだまだジャズ的なインプロビゼーションミュージックの色合いが残っています。
 が、もうひとつのバンドの二曲になると様相が異なってきます。
 ポップです。
 Milesのトランペットは張りのある音で素晴らしいフレージングですが、全体のサウンドはここまでにないというか、想像しにくい質感。
 さらに一曲のボーカル曲は完全にソウルっぽいAOR。
 うーん・・・
 Robert Irving IIIとの共演は後の“Decoy” (Jun.Jul.Sep.1983)、“You're Under Arrest” (Jan.1984-Jan.1985)で復活しますので、Milesとしてはお気に入りだったのでしょう。
 それにしてもポップです。
 それでも最後は長尺な現代的4ビートジャズ。
 まだまだ稀代の天才Miles Davisは健在です。
 
 

posted by H.A.