“Spain”(2000)Michel Camilo,Tomatito 
Michel Camilo(Piano)Tomatito(Guitar)
 
Spain
Michel Camilo
Polygram Records
ミッシェル・カミロ
トマティート


 ドミニカ出身のラテンジャズピアニストMichel Camiloと本場の現代フラメンコギタリストTomatitoのDuo作品、第一弾。
 美しい音と抜群のテクニックのピアニストと現代スパニッシュギターの第一人者が、お互いの得意なラテン風味の曲を持ち寄って演奏するのだから悪いわけがありません。
 どちらも激しい情熱的な演奏が身上ですが、ラテン特有の泥臭さや汗臭さを感じさせない、美しい音、洗練された音使いも共通点。
 本作も何の奇をてらうことのない、二人のキャラクター直球そのままの演奏ですが、洗練されたいかにも現代的なスパニッシュ〜ラテンな音作り。
 Duoゆえに伸び縮みし、揺れ動くビート感。
 インタープレーもバッチリで、スローでは揃ってタメを効かせた漂うような音、アップテンポでは強烈な加速、疾走感での並走。
 それでいて透明度の高い、瑞々しく美しい音。
 冒頭の“Aranjuez”〜”Spain”からそんな演奏が並びます。
 さすがにこの曲は聞き飽きましたが、さすがの哀愁の塊、スリルの塊のような演奏。
 続くもベタベタのラテン曲”Bésame Mucho”もごちそうさまな曲ですが、全編ルバートでのスローバラードとして処理していて、一味違うカッコよさ。
 その他、Michel Camiloのバラードや、Tomatitoの現代フラメンコ曲など、名メロディ、名演奏が並びます。
 ここまでうまくて美しい音が出せるのならば、フリーや混沌を織り交ぜてもカッコよくなりそうですが、激しい音を出してもそうはならないのがこの二人のスタイルなのでしょう。
 また、これにドラムやベースが入るとさらにエキサイティングになるのでしょうが、この美しい世界は壊れてしまうのかもしれません。
 そんな絶妙なバランス。
 バイオリン、あるいはバンドネオンが入ると、もっと凄まじい哀愁と強烈な浮遊感の世界になりそうですが・・・
 終盤に収められたTomatito作の現代フラメンコ曲“La Vacilona”〜 タンゴ曲”Aire de Tango”の哀愁と疾走感のカッコいいこと。
 “Paseo de los Castanos” (2007) Tomatitoに、相方にGeorge Bensonを迎えたバージョンがありますが、そちらも凄まじい疾走感の演奏、さらにバイオリン入りの哀愁の塊のような演奏です。
 さておき、本作、全編通じて名曲、名演揃いの名作でしょう。
 同じく名作の第二弾“Spain Again” (2006)、最新作第三弾“Spain Forever”(2016)へと続きます。




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