“Identity” (1975) Airto
Airto (Drums, Percussion, Vocals)
Egberto Gismonti (Piano, Electric Piano, Synthesizer, Flute, Acoustic Guitar)
David Amaro (Guitar, 12string Guitar )
Herbie Hancock (Synthesizer) Ted Lo (Organ)
John Heard, John Williams, Louis Johnson (Bass)
Wayne Shorter (Soprano Sax) Raul Desouza (Trombone) Flora Purim (Vocals)
Airto Moreira、スーパーミュージシャンにサポートされた、ブラジリアンフュージョン~MPB作品。
Egberto Gismontiが半数の楽曲を提供し、全編に参加。
プロデューサーはHerbie HancockでWayne Shorterも参加。
このお三方が揃うのはこの作品だけでしょうかね?
三人、あるいは四人の音が融合した・・・といった感じではないし、近い時期の“Native Dancer” (1974) Wayne Shorter with Milton Nascimentoのようなスムースな感じでもありません。
ちょっとワイルドなブラジリアンフュージョン~ポップスに寄った演奏が並びます。
Egberto GismontiはECM参加前、ブラジルで諸作を発表していた時期。
その色合いが強いのでしょうね。
冒頭から飛び跳ねるようなピアノとポリリズミックな激しいビート。
“Return to Forever” (Feb.1972) Chick Coreaと同じく、凄い「ドラマー」Airtoの本領発揮。
ボーカルが乗ってくるといかにもこの人の少しのどかな感じになりますが、Egberto Gismonti風のハイテンションフュージョンがベースです。
ビリンボウなどのブラジルネイティブ楽器とエレピとの絡み合いが目立ちます。
ちょっとサイケなエレキギターなどが入ってくるのも、この期のこの人の作品の色なのでご愛敬。
もちろん近い時期のFlora Purim“Stories To Tell” (1974)に近いムードもあります。
そんなファンクフュージョンから、Egberto Gismontiのギターとパーカッション、嬌声が絡み合う想像通りの音から、Herbie Hancock?のシンセサイザーが唸るドラマチックで激しいサンバフュージョン~Wayne Shoeterのソプラノサックスが奏でるGismontiの名曲”Cafe”へのメドレー。
あるいは、“Return to Forever” (Feb.1972)のようなエレピが映えるボーカル曲・・・と思ったら、やはりHermeto Pascoalの曲。
遠いようで近い関係、と思っていますが、そのエレピを弾いているのはEgberto Gismonti?・・・といったレアな演奏まで。
楽曲の幅が広くなってしまうのもこの人の作品の特徴。
などなど、全編に鳴り響くパーカッションとブラジリアンならではの郷愁感も含めて、Airtoの関わった音楽(除くエレクトリックMiles)をギュッと集めた一作かもしれません。
楽曲もさすがのGismontiナンバー中心、いいメロディが揃っています。
次は若き日のToninho Horta が参加する“Promises Of The Sun” (1976)、さらにはアメリカンなフュージョンの“I'm Fine. How Are You?” (1977)へと続きます。