"MehmariLoureiro duo" (2016) André Mehmari, Antonio Loureiro
André Mehmari (Piano, synth, electric piano, bass flute, guitar, charango, bandolim, accordion, voice) Antonio Loureiro (Drums, vibraphone, voice)
ブラジルのスーパーピアニストAndré Mehmariの最新作は、ビブラフォンを中心としたマルチ楽器奏者とのDuo。
二人ですが、例によってオーバーダビングも含めてコンボ作品に近い音作り。
近作ではクラシックの色合いが強い作品が続いている印象がありましたが、本作もその色合いながら、ビート感も効いた曲が多く、ジャズ、ポピュラーミュージックの色合いが戻ってきた感じでしょうか。
Antonio LoureiroはAndré Mehmariよりも一回り若い若手。
ミナス出身のようで、なるほど、オリジナル曲の展開やそれに乗ってくるvoiceが”Still Life (Talking)” (1987) Pat Metheny的です。(Pat Methenyが影響を受けた側でしょうから、そんな形容は妙なのですが・・・)
ふわふわとしたビブラフォンもそんな感じの浮遊感の強い音使い。
楽曲は二人のオリジナル、共同名義のインプロビゼーション?が概ね三分の一ずつ。
どれも淡い色合いのセンチメンタルなメロディ揃い。
冒頭から哀愁が漂うメロディを土台に、柔らかく空から舞い落ちてくるようなピアノの音と、その周囲を漂うようなビブラフォン。
さらには、さりげないハミングに、これまたさりげないクリーントーンのエレキギター。
続くはミナス的な幻想感とドラマチックな交錯する漂うような楽曲。
これはたまりませんねえ。
以降クラシック的な演奏も入り混じりながら、美しい演奏が続きます。
同時期?に発表された似たテイストのアルゼンチン人アーティストAndrés Beeuwsaertの “Andrés Beeuwsaert” (2015)と比べると、瑞々しさは同様ながら、そちらがせせらぎのような穏やかで緩やかな音だとすれば、こちらは流れの緩急の変化が強い渓流のような音。
穏やかなようで性急なようで、突っ走ったり緩んだり。
これ見よがしな派手な展開はありませんが、とても繊細で上品な音。
ジャズでもクラシックでもポップスでもフォルクローレでもブラジル伝統音楽でもない、それらが混ざり合ったAndré Mehmariならではの音。
終盤に集められたピアノとドラムによるインプロビゼーション集?はさまざまな表情。
これ見よがしな派手な展開はありませんが、とても繊細で上品な音。
ジャズでもクラシックでもポップスでもフォルクローレでもブラジル伝統音楽でもない、それらが混ざり合ったAndré Mehmariならではの音。
終盤に集められたピアノとドラムによるインプロビゼーション集?はさまざまな表情。
メロディアスなバラード風から、少々強面なフリージャズ風の演奏まで。
二、三分の長くはない演奏を繋ぎつつ、何らかのドラマを描いているのでしょう。
あの圧倒的なジャズピアノが出てこないかあ・・・と想わせながら、ピアノの強打で幕を閉じます・・・
わかりやすさ、取っつきやすさなら“Lachrimae” (2003) André Mehmari、あるいは似た色合いの別アーティストの近作ではAndrés Beeuwsaert の“Andrés Beeuwsaert” (2015)もそう。
が、格調高さなら本作。
どの作品もとても優雅です。
