Heavy Weather (1977) Weather Report

Joe Zawinul (electric piano, piano, synthesizers, vocal, melodica, guitar, table) Wayne Shorter (Soprano, Tenor sax) Jaco Pastorius (Bass, mandocello, vocals, drums, steel drums) Alex Acuña (Drums, percussions)
Manolo Badrena (Percussions, vocal)
 
Heavy Weather
Weather Report
Sony
ウェザー・リポート


 Weather Report 、大人気作にして大ヒット作、大名作。
 “Sweetnighter” (1973)からのファンクフュージョン、あるいは “Tale Spinnin'” (1975)からのポップなファンクフュージョンの集大成。
 集大成は“8:30” (1978,1979)の方が適当だとすれば、こちらは完成形。
 キャッチーな楽曲、強烈なグルーヴ、ハイテンションで完璧な演奏。
 好みはあるかもしれませんが、Weather Reportを最初に聞くならこれか、“8:30” (1978,1979)で間違いないでしょう。
 本作からJaco Pastoriusが全面参加。
 既に完全にバンドに溶け込み、この人がいないとできない音が出来上がっています。
 躍動感はライブ諸作に譲りますが、逆に落ち着いたビート感とスッキリとまとまった音作り。
 冒頭からの“Birdland”、"A Remark You Made"、"Teen Town"は、オムニバスのベストアルバムかと思うような名曲、名演三連発。
 ゴージャスでポップな“Birdland”、このバンドで、あるいはJoe Zawinulの曲で聞いたことがないような直球ロマンチックなAOR風バラード"A Remark You Made"に、Jaco Pastoriusにしか書けない凄まじいファンク、とんでもないベースラインの"Teen Town"。
 これだけで既に大名アルバムですが、まだまだ続きます。
 LPレコードB面に移ると“Tale Spinnin'” (1975)以来の楽園ムードも全開。
 ネイティブな雄叫びとパーカッションのソロで幕を開け、Wayne Shorterの明るくキャッチーな楽園曲、隠れた大名演"Palladíum"では、Jaco Pastoriusがsteel drumsの彩り。
 知る人ぞ知る“Travels” (1982) Pat Metheny Groupのこちらも隠れた名曲名演サンバ”Straight on Red”はこれが元ネタか?と想えるようなカッコいい演奏。
 最後はJaco Pastoriusのハイテンションな名曲"Havona"。
 このベースを弾ける人は他にいるのでしょうか?
 聞いたことのないような凄まじい疾走感、凄まじいグルーヴに、凄まじいベースソロ、珍しくピアノの強烈なソロも交えながら、ドカーンと盛り上がって締め。
 これは一点の曇りもない大名アルバムでしょう。
 強いて欠点を探すとすれば、整いすぎ、よく出来すぎていることぐらい。
 このままのテイストで連発すればよかったようにも思うのですが、そうはいかないクリエイティブな皆様方。
 大名作の余韻に浸る間もなく、新しい音を求めにいった思われる“Mr. Gone” (1978)へと続きます。




posted by H.A.