Black Market (1976) Weather Report

Joe Zawinul (Piano, Electric Piano, Synthesizers, Orchestration) Wayne Shorter (soprano, tenor sax, Computone Lyricon) 
Alphonso Johnson (Electric bass) Chester Thompson (Drums) Alex Acuña (Percussions)
Jaco Pastorius (Electric bass) Narada Michael Walden (Drums) 
 
Black Market
Weather Report
Sbme Special Mkts.
ウェザー・リポート


 Weather Report、快進撃の名作ファンクフュージョン。
 全力疾走に入った絶頂期ですが、制作途中でファンクのキーマンAlphonso Johnsonが脱退し、Jaco Pastoriusが二曲に参加。
 “Bright Size Life” (Dec.1975) Pat Methenyとほぼ同時期の録音。
 このバンドに参加していなければ、Pat Metheny GroupのベースはJacoだったのでしょうから、なんとも微妙な関係。
 Alphonso Johnson の凄さ、というよりも超人的な凄まじさは、このバンドよりもむしろ近い時期のFlora Purim “Open Your Eyes You Can Fly”(1976)、“That's What She Said”(1976)あたりに感じますが、ドラマーが安定しない中、このバンドのファンクビート、グルーヴを作っていたのは彼であることは間違いないでしょう。
 その穴を埋めることが出来たのは、Jaco Pastorius以外はいなかったように思います。
 Staley ClarkでもPaul Jacksonでも今一つピンときません。
 当の天才Jaco Pastorius も、相当Alphonso Johnson を意識していたというか、影響を受けているように思います。
 全体の質感は異なり、Jacoの方が柔らかいのですが、似たフレーズはしばしば登場します。
 さておき、本作も“Tale Spinnin'” (1975)に引き続き、明るいファンクフュージョン。
 さらに洗練され、スムースに、ゴージャスになったようにも感じます。
 “Black Market”のサビの部分のシンセサイザーはオーケストラのようなゴージャスさだし、それに続くファンキーなグルーヴとソプラノサックスは、もはやこのバンドの定番。
 “Tale Spinnin''”収録の ”Man in the Green Shirt”にスピード感は譲りますが、同じようなカッコよさ。
 続くJaco Pastoriusのスペーシーなベースが映えるCannonball Adderleyの追悼曲も、湿っぽくならずに明るくゴージャスなバラード。
 さらには、ハイテンションなメロディとカッコいいベースラインが交錯する“Gibraltar”、意外な方向へ飛んでいくいかにも Wayne Shorterな、それでもポップな “Elegant People”、 名刺代わりのゴムまりのように弾むJaco流ファンク"Barbary Coast"、などなどなど、名曲名演、有名曲揃い。
 最後はAlphonso Johnson流ファンクで締め。
 素晴らしいベーシストでしたが、代わりに違う色合いのこれまたとんでもなく素晴らしいベーシストが加わり、結果的には快進撃が加速します。
 決定的な“Heavy Weather” (1977)へと続きます。

 


posted by H.A.