Tale Spinnin' (1975) Weather Report

Josef Zawinul (electric piano, piano, melodica, synthesizers, organ, steel drums, oud, percussions, vocals) Wayne Shorter (Soprano, tenor sax) Alphonso Johnson (Electric bass) Leon "Ndugu" Chancler (Drums, percussions) Alyrio Lima (Percussion)
 
Tail Spinnin
Weather Report
Sony
ウェザー・リポート


 Weather Report、スッキリしたファンクフュージョンに完全に転換した大名アルバム。
 ここからしばらく大名アルバムが続く端緒、“Black Market” (Dec.1975-Jan.1976)、“Heavy Weather” (1977)と合わせて三部作とも思える、どれ劣ることのない名作群。
 ベーシストAlphonso Johnsonが定着。
 ドラマーはまだ流動的、本作ではSantanaからLeon "Ndugu" Chanclerが客演し、軽快な素晴らしいドラミング。
 もしこの人が定着していれば、もっと凄いバンドになったことも予見されるような名演ですが本作のみ。なかなかうまくはいきません。
 前作“Mysterious Traveller” (1974)では少々残っていた重厚で深刻な音もすっかりなくなりました。
憑き物が落ちたように明るい色合い。
 本作で後に通じるファンクフュージョンのWeather Reportサウンドが完全に出来がり。
 冒頭の”Man in the Green Shirt”からファンキーで軽快な疾走感全開。
 爽やかな楽園ムードすら漂う演奏。
 不思議なものでエレピもサックスもすっかり明るい音。
 超高速なファンクビートに、ちょっとズレたようにゆったりとした哀愁も漂うメロディ。
 これこそファンクフュージョンのWeather Report、これだけでも大名演なのだけども、1:50ぐらいからリズムパターンが変わってからが桃源郷。
 ファンキーなグルーヴに乗ってソプラノサックスが大爆発。
 これを“8:30” (1978,1979)あたりでやっていたら大名曲扱いになったのかも。
 “Live and Unreleased” (1975-1983)には収められていますが、ドラムがLeon "Ndugu" Chanclerではなくて、少々重めですかね。
 その他、楽曲はJoe Zawinul、Wayne Shorterが分け合っていますが、こらも両者で申し合わせたように明るいメロディ揃い。
 Wayne ShorterもMilton Nascimento とのブラジル作品“Native Dancer” (1974)を通過してふっきれた、といったところでしょうか?
 かつての影、妖しさは表面からは消えましたが、それはそれ。
 タメの効いた粘って跳ねるファンキーなベースと、軽快に突っ走るドラム。
 その上を縦横無尽に動きまくるキーボードとサックス。
 全曲名曲名演。
 そろそろ休養に入るかつての親分Milesを差し置いて、“Head Hunters” (Sep.1973) Herbie Hancockの追撃開始・・・、あるいはもう追いたのかな?
 次作、大人気作“Black Market” (1976)へと続きます。




posted by H.A.