Sweetnighter (1973) Weather Report

Josef Zawinul (Electric piano, piano, synthesizers) Wayne Shorter (Saxophones)
Miroslav Vitous, Andrew White (Bass)
Herschel Dwellingham, Eric Gravatt (Drums) Andrew White (English Horn) Roller Toy, Israeli Jar, Muruga Booker (percussion) Dom Um Romão (Percussion, Wood Flute)
 
Sweetnighter
Weather Report
Sbme Special Mkts.
ウェザー・リポート


 Weather Report、第三弾。
 エレキベースの全面的な導入、ファンクフュージョン路線への移行が始まった作品。
 Miroslav Vitousもエレキベースを弾いていますが、半数はツインベース、Miroslav Vitousが参加していない曲もあり、“I Sing the Body Electric” (1972)のフリージャズ的な世界、あるいは”Weather Report” (Feb-Mar.1971)的な世界からも脱しようとしています。
 ボウイングを封じられ、ツインベースの曲についても、アコースティックベースは目立たず、Miroslav Vitousがエレキベースを弾く曲はスロー~ミディアムテンポ。
 Miroslav Vitousの適当な居場所があまりなくなっています。
 ドラムもツインの曲がいくつか、“Live in Tokyo” (1972)から共演するEric Gravattはアコースティックベース中心の曲のみ。
 二人とも、Joe Zawinul、Wayne Shorterの求める音に合わなくなっていたのでしょう。
 全体の質感も大きく変わって、深刻で暗い色合いが薄まり、ファンク~ポップな色合いが強くなりました。
 ワウを掛けたキーボードがギターのような響き、軽快なファンキーさを出そうとしていることがうかがえます。
 Andrew Whiteのエレキベースが前面に出る何曲かの曲では、後まで続くWeather Reportの音が始まっています。
 不自然にまでエレキベースの音量を大きくミキシングしている曲も何曲か。
 試行錯誤の途上ゆえか、ファンキーなグルーヴを前面に出そうとしたのかはわかりません。
 いずれにしてもエレキベースと軽快なドラムが目立つ16ビート的な軽快でファンキーな演奏が印象に残ります。
 前年にリリースされた“On The Corner” (Jun.1972) Miles Davisの影響だろう・・・とかいうとJoe Zawinulさんは真っ向否定するんだろうなあ。
 “Boogie Woogie Waltzのクラッピング”や“125th Street Congress”のドラムのパターンなどは“On The Corner”に似ているのだけども・・・
 そのビート感をどちらが作り出したのか、それとも単に時代の流行だったのか、実相はわかりませんが、とにもかくにも、軽快さも入り混じるファンキーなグルーヴ、新しいWeather Reportのスタート。
 最後の “Non-Stop Home”に毒気・・・かと思いきや、やはりこれも前向きな展開。
 高速なビートとゆったりとしたメロディを奏でるフロント陣が絡み合うカッコいい演奏。
 これもMilesバンドのどこかで聞いたなあ・・・?やはりWayne Shorterの曲か・・・
 などなど、Milesとの絡み含めて見えずらいこと、深読みを誘うことも多いのですが、カッコいい演奏ではあります。
 次作“Mysterious Traveller” (1974)からはAlphonso Johnsonが参加してより洗練されたファンク、“Tale Spinnin'” (1975) にLeon "Ndugu" Chancler が参加してより軽快に、“Black Market” (1976) ではJaco Pastoriusが参加、決定的な“Heavy Weather” (1977)・・・
 バンドの進化は止まらず、快進撃が始まります。
 ジャケットもすっかり明るくなりました。
 まだ曇り空ですが。

 


posted by H.A.