Mysterious Traveller (1974) Weather Report

Josef Zawinul (Electric piano, piano, synthesizers, guitar, kalimba, organ, tamboura, clay drum, tack piano, melodica) Wayne Shorter (Soprano, tenor sax, tack piano)
Miroslav Vitouš (acoustic bass) Alphonso Johnson (Bass) Ishmael Wilburn, Skip Hadden (Drums) Dom Um Romão (Percussion, drums)
Ray Barretto, Meruga, Steve Little (Percussion) Don Ashworth (Ocarinas, woodwinds)
Isacoff (Tabla, finger cymbals) Edna Wright, Marti McCall, Jessica Smith, James Gilstrad, Billie Barnum (Vocal)
 
Mysterious Traveller
Weather Report
Sony
ウェザー・リポート


 Weather Report、第四弾。
 メインのベーシストがファンクプレーヤーのAlphonso Johnsonに交代。
 Miroslav Vitousの参加は一曲のみ。
 “Live in Tokyo” (1972)から共演が続いたドラマーEric Gravattも交代。
 MilesバンドのベースがRon CarterからDave Hollandに交代し、結局は根っからのファンクプレーヤーMichael Hendersonに、ドラマーがJack DeJohnetteからAl Fosterに変わっていく流れに似ています。
 かつての深刻系なムードは冒頭のイントロのみ、宇宙的、幻想的なムードもタイトル曲のイントロのみ。
 いずれもすぐに明るいムードの曲に展開します。
 軽快でファンキーなグルーヴを作るベース、ドラム、パーカッション。
 後のJaco Pastoriusがよく使うベースパターンも登場します。
 Miroslav Vitousの参加曲にしても、楽曲は明るいムードのファンク。
 1960年代ジャズ、初期Weather Report の深刻で気難し気な色合いはほとんど無くなりました。
 この期に大ヒットした“Head Hunters” (Sep.1973) Herbie Hancockを意識したかどうかは分からないし、似てもいないけども、モダンジャズはもとより、シリアスなムードのジャズは流行らないし、決してクールではない時代だったのでしょう。
 “Sweetnighter” (1973)で感じられた少々の不自然さも払拭。
 “Nubian Sundance”、“Cucumber Slumber”, “Mysterious Traveller”などなど、ほどよくタメの効いたファンキーでわかりやすい演奏が並びます。
 さりげなくてファンキーなミディアムテンポの“Cucumber Slumber”などは、Alphonso Johnsonのベースなくしてはこうはならないであろう、カッコいいファンク。
 さらにはこのバンドでは初めてのソプラノサックスとピアノほぼDuoでの静謐なバラード、かつてのような緊張感が漂う “Scarlet Woman”から、最後はシンセサイザーに導かれる、ささやくようなコーラス、エスニックで穏やかなJoe Zawinulの世界”Jungle Book”で締め。
 ファンクフュージョンのみならず、後々までの要素、世界観がしっかり収められています。
 それでも次作“Tale Spinnin'” (1975)に比べると少し雰囲気が違うのは、過渡期ゆえ、あるいはしばらく固定できないドラマーゆえでしょうか?
 さておき、次作、Weather Report流のファンクフュージョンが完成したと思しきアルバム、ファンキーで軽快で明るい“Tale Spinnin'” (1975)へと続きます。

 


posted by H.A.