I Sing the Body Electric (1972) Weather Report

Josef Zawinul (Electric piano, piano, synthesizers) Wayne Shorter (Saxophones) Miroslav Vitouš (Bass) Eric Gravatt (Drums) Dom Um Romão (Percussion)
Andrew White (English horn) Hubert Laws, Jr. (Flute) Wilmer Wise (trumpets) Towner (12-string guitar)
Yolande Bavan, Joshie Armstrong, Chapman Roberts (Voice) Ralph 
 


 Weather Report、第二弾。
 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davis的な音から抜け出そうと試行する時期の作品。
 ファンクジャズでもファンクフュージョンでもなく、幻想的なフリージャズ的な印象が強い音。
 冒頭から妖しいメロディと所々に配置されるコーラスがちょっと怖い感じ。
 そこを抜けてしまえば穏やかなフリージャズ~“In a Silent Way” (Feb.1969) Miles Davis系の音。
 シンシンと鳴り続けるシンバルと激しいウッドベースが絡み合うビートの上にちりばめられる、漂うようなゆったりとしたサックスとピアノ。
 とても幻想的なムードは、二曲目のRalph Townerのギターが鳴り出しても同じ。
 ギターとドラムが作るビートの上を抽象的なメロディのサックス、歪んだキーボードとベースが絡み合う摩訶不思議な世界。
 LPレコードA面はそんな音が続きます。
 ”Weather Report” (Feb-Mar.1971)の深刻なムードを保ちつつ、よりフリーなインプロビゼーション、インタープレーの割合が大きく、抽象度が高いイメージ。
 遠くで響いているようなスムースで穏やかなソプラノサックスの響きが映える空間ではあります。
 楽曲はJoe Zawinul、Wayne Shorter、Miroslav Vitousで分け合っていますが、三者ともに曖昧なメロディ。
 全体を眺めれば、メロディ、ビートの芯が曖昧、未来的で幻想的な色合いで、何がどこまで出来そうか模索中、といったところでしょうか。
 LPレコードB面は色合いが変わって、東京でライブ“Live in Tokyo” (1972)のダイジェスト版。
 キッチリ、べストな選曲でしょう。
 激しいビート、“Bitches Brew” (Aug19-21,1969) Miles Davisの影も強いファンクジャズ、エネルギー放出型ジャズ。
 ウッドベース、4ビートのイメージが強いのがこの期のWeather Reportの色合い。
 ラテンなビートで始まり、Milesバンドオープニングの定番”Directions”で締め。
 フリージャズが混ざる深刻なムード、強烈なグルーヴ、推進力に、激しいインプロビゼーション。
 “1969Miles” (Jul.25,1969) Miles Davisなどのような爆発的な激烈さまでにはいきませんが、カッコいい演奏揃い。
 さて、このカッコよさの根っこはJoe ZawinulなのかMiles Davisなのか?
 わかりません。

 


posted by H.A.