“Sextant” (1972) Herbie Hancock

Herbie Hancock (acoustic piano, Fender Rhodes, Hohner D6 clavinet, mellotron, ARP 2600, ARP Pro Soloist, Moog)
Buster Williams (electric, acoustic bass) Billy Hart (drums)
Bennie Maupin (soprano sax, bass clarinet, piccolo, afuche, Hum-A-Zoo) Dr. Eddie Henderson (trumpet, flugelhorn) Julian Priester (bass/tenor/alto trombone, cowbell) Dr. Patrick Gleeson (ARP 2600, ARP Pro Soloist) Buck Clarke (percussion)

Sextant
Herbie Hancock
Sbme Special Mkts.
ハービー ハンコック



 Herbie Hancock、“Mwandishi” (Dec.1970)、“Crossings” (Feb.1972)とほぼ同様の中核メンバーでの“Bitches Brew” (Aug19-21,1969)的ジャズファンク路線三作目。
 ここまでは予想できそうな音でしたが、これは全く予想不可能、問題作でしょう。
 不思議感は彼のキャリアの中でも突出しているのでは?
 ジャケットの不思議なイラスト通り、スペーシー・エスニック?な音でしょう。
 シンセサイザーの導入は初めてでしょうか?全編で不思議な電子音が飛び交います。
 フリーな場面、混沌の場面はないのですが、終始混沌というかなんというか・・・
 長尺な全三曲。
 冒頭曲は電子音が主導するジャズともロックともファンクともつかない不思議感全開の展開。
 飛び交う電子音に、カッコいいジャズファンクなウッドベースに、一瞬のフリージャズ的ホーンアンサンブルに、端正なエレピ。
 これを混ぜると・・・カッコいいような気もするのだけども、違和感もたっぷり。
 最後は電子音のみでのアンサンブルが数分・・・これは・・・?
 不思議です。
 二曲目からファンクなビートが入り、クラビネット的な音が主導するカッコいいソウルっぽくもある音なのですが、アンサンブルは不思議感満載。
 ホーン陣はソウルっぽいアクセント付けに使われていますが、断続的に響くメロトロンがプログレッシブロックぽくもあり、ワウを掛けたキーボードがMilesバンドっぽくもあり、中盤にはアコースティックピアノを強打するエキサイティングなソロあり。
 このこちゃまぜ感はちょっと凄い。
 LPレコードB面”Hornets”に移ると、ヒタヒタと迫ってくるようなビートとインタプレーを中心とした“Bitches Brew”な展開。
 いかにもMiles的なEddie Hendersonのトランペットと、この人にしては珍しく歪んだ音で狂気混ざりのフレーズを弾くキーボードがいかにも“Bitches Brew”的。
 それに乗ったBennie Maupinのここまでブチ切れたソロも珍しいのでは?
 しかも不思議な電子音、その他聞き慣れない音が周囲を飛び交います。
 中盤には混沌一歩手前場面もあり、これもHerbie Hancockにしては珍しい。
 シンセサイザーを入れて“Bitches Brew”、あるいはさらに激しい“Miles Davis At Fillmore”(Jun.1970)、”Live Evil” (Feb.Jun,Dec.19,1970)を作るとこうなるのかな?と思わせるようなアバンギャルドさをはらんだ演奏。
 本気でそう考えて作ったような構成です。
 などなど、全編不思議感満載ですが、凄い演奏、クリエイティブな音楽であることは確か。
 が、逆にいまさら感もあるし、Herbie Hancock的な洗練された色合いが薄くなっているし、やはり問題作。
 この路線で行くのかと思いきや、不思議なジャズファンク、“Bitches Brew”路線はここまで。
 次作、ガラッと変わってあのポップな“Head Hunters” (Sep.1973)へと続きます。
 
 


posted by H.A.