“Speak Like a Child” (Mar.1968) Herbie Hancock

Herbie Hancock (piano)

Ron Carter (bass) Mickey Roker (drums)

Jerry Dodgion (alto flute) Thad Jones (flugelhorn) Peter Phillips (bass trombone)


Speak Like a Child
Herbie Hancock
Blue Note Records
ハービー ハンコック



 Herbie Hancock、言わずと知れたアコースティック時代の大人気アルバム。
 ちょうど“Miles in the Sky” (Jan.May.1968) Miles Davisのセッションの間での録音。
 そちらのやんちゃなイメージに対して、なんと落ち着き払った優雅な音か・・・
 先の”Maiden Voyage” (1965) よりもこちらの方が穏やか。
 アルバム冒頭の”Riot”は“Nefertiti” (Jun.Jul.1967) Miles Davisから、“The Sorcerer”は“Sorcerer” (May.1967,1962) Miles Davisから。
 そちらの収録バージョンも同様に端正。
 この端正さ、優雅さがHerbie Hancockの真骨頂なのでしょう。
 よく言われるように、ホーンはアンサンブルのみでソロをとるのはピアノのみ。
 柔らかなホーンアンサンブル、シャープで洗練されたピアノが映える音作り。
 クールでモーダルな新主流派的な音ではあるのですが、それはインプロビゼーションの部分のみ、全体としては別の穏やかな世界観を作ろうとしていたように思います。
 ファンク、ロックに寄るのではなく、ポピュラーミュージック的、映画のサウンドトラック的なムードでしょうか。
 ボッサなビートと柔らかなホーンアンサンブルがカッコいいタイトル曲がその象徴。
 とても素敵なジャケットのような映像が見える音。
 その意味でも”Maiden Voyage” (1965) から続くHerbie Hancockがやりたかったことが発展していく過程、その流れは次作“The Prisoner” (Apl.1969) までは続いていたように思います。
 が、以降はそれを引き継ぎつつも、“Mwandishi” (Dec.1970) 等々、Milesバンドその他からの影響も強いファンクジャズの色合いが強くなります。
 この後途切れてしまった、モダンジャズの範疇での新しい音作りの終わり始まりの作品。
 あるいは、“Nefertiti” (Jun.Jul.1967) Miles Davis、本作、次作“The Prisoner” (Apl.1969) が、アコースティック4ビートのモダンジャズの時代の終わりを象徴する作品かもしれません。
 あるいは、スーツに身を包んで演奏する最後のアルバム・・・なのかもしれません。
 とても優雅で素敵な音です。

 



posted by H.A.