“Black Beauty / Miles Davis At Fillmore West” (Apl.10,1970) Miles Davis
Miles Davis (trumpet)
Chick Corea (electric piano) Dave Holland (bass) Jack DeJohnette (drums) Airto Moreira (percussion)
Miles Davis、“Live At The Fillmore East - It's About That Time”(Mar.1970)でのライブ、Steve Grossman を迎えた“Jack Johnson" (Feb.18,Apl.7,1970)セッションを終え、西海岸でのライブ。
発表は当初、日本限定だったらしいので、Miles含めて制作サイドは気に入っていなかったのでしょう。
確かに後の“Miles Davis At Fillmore”(Jun.1970)と比べると、エレピが大きめのバランス、スッキリ系のミキシングも含めて雰囲気も違います。
それでもトランペットは絶好調だし、ステージの全貌がそのまま見えるといった意味では貴重、メンバーの演奏も好調のように思います。
Steve Grossmanは激しいのですが、同じところをグルグル回っているイメージもあり、このバンドからすぐに出てしまった理由も何となくわかるような気もします・・・
“Miles Davis At Fillmore”(Jun.1970) でも存在感は薄いし・・・
“Miles Davis At Fillmore”(Jun.1970) でも存在感は薄いし・・・
・・・と思っていたのは”Miles At Fillmore(完全版)”を聞く前。
そちらの彼は凄い。
同じくグルグル回るにしても、起伏があってビートのメリハリもある素晴らしいソロの連続。
おそらく楽曲、バンドへの慣れとミキシングの問題のような気がします。
いろんな評価が聞かれるアルバムですが、楽器のバランス、Wayne Shorterだったらなあ・・・をさておけば、素晴らしい演奏集だと思います。
Wayne Shorterがいるとまた違ったムードだったように思うし、後のライブを聞いてしまうと、キーボードかギターをもう一人欲しい感じもわかる気もしますが、シンプルな編成での演奏も悪くありません。
スッキリ系の音質にしても、“Miles Davis At Fillmore” (Jun.1970)、”1969Miles”(Jul.25,1969)あたりとは全く別物として聞けて、いいのかもしれないとか思ったりして。
やはりこの期のMilesにハズレなし、で、よろしいのでは。
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以下が楽曲に分解した構成。(wikiより)
この期のいつもの楽曲が並びます。
Disc one
"Directions"– 10:46
"Miles Runs the Voodoo Down"– 12:22
"Willie Nelson" – 6:23
"I Fall in Love Too Easily" – 1:35
"Sanctuary" – 4:01
"It's About That Time" – 9:59
スタートはいつもの"Directions"。
楽器のバランスが妙でMilesが右に入ったり左に入ったりもしますが、演奏自体は強烈なグルーヴ、激烈ハイテンションでいい感じ。
凄まじいまでのベースの動き。
凄まじいまでのベースの動き。
Milesも出だし好調、凄まじいトランペットソロ。
音の塊がジワジワと迫ってくるような、凄い演奏です。
が、肝心なテーマのブレークがカッコよく決まっていません。
そこさえ決まれば・・・惜しいなあ・・・
そこさえ決まれば・・・惜しいなあ・・・
Milesのソロはこれはベストかも?思わせるような激烈さだし、続くSteve Grossmanはグルグル回りっぱなしですが、Chick Coreaがキレまくっています。
続くはヘビーな"Miles Runs the Voodoo Down"は歪んだエレピとトランペットのせめぎ合い。
後ろを支えながらも激しく動くベースもカッコいい。
終盤、サックスが微かに”Footprints”を奏でつつ数分間の混沌に突入、トランペットの合図で定常に戻り、ファンクナンバー"Willie Nelson"へ移行。
エレピの音がスッキリ聞こえるので、またオルガンが混ざらない分、混沌の部分を含めて何をやっているのかはっきりわかるのもいいところなのでしょう。
トランペットと歪んだエレピのバトルがまた始まります。
さらにビートを落として定番バラードメドレーでの静謐~激情(ホーン陣が肝心なところを外していますが)から、ヒタヒタと迫るようなアップテンポビート、徐々に音量を上げてノリノリの(二枚目へ続きます)"It's About That Time"。
さらにビートを落として定番バラードメドレーでの静謐~激情(ホーン陣が肝心なところを外していますが)から、ヒタヒタと迫るようなアップテンポビート、徐々に音量を上げてノリノリの(二枚目へ続きます)"It's About That Time"。
これはカッコいいじゃないですか。
Disc two
"Bitches Brew"– 12:53
"Masqualero"– 9:07
"Spanish Key/The Theme"– 12:14
CD二枚目は一枚目の続きのアップチューンから徐々に混沌の世界へ。
さらにヘビーな混沌"Bitches Brew"へと移行。
これまた歪んだエレピとトランペット、サックスの激しいせめぎ合い。
ビートを落として静かな混沌から、激しいアップチューン。
ベースもドラムも激しく動きまくる中、ホーンとのインタープレーを経てエレピの激しいソロ。
現れては消えるReturn to Foreverの幻影。
最後は希少な録音の"Spanish Key"。
悠々としたトランペットにグルグル回るサックス、歪んだエレピの凄まじいソロと、徐々に上がっていくテンションと音量。
これまたReturn to Foreverの幻影。
終盤にエレピの音程が揺れ出すのはご愛敬。
終盤にエレピの音程が揺れ出すのはご愛敬。
前向きにド―カンと盛り上がって幕。
こちらも凄い演奏です。
posted by H.A.