“Hearts Wide Open” (2010) Gilad Hekselman
Gilad Hekselman (Guitar)
Joe Martin (Bass) Marcus Gilmore (Drums) Mark Turner (Saxophone)

Hearts Wide Open
Gilad Hekselman
Le Chant Du Monde Fr
ギラッド ヘクセルマン




 ニューヨーク系コンテンポラリージャズギタリストGilad Hekselmanの第三作。
 現代の若手のエース陣を揃えたクールなコンテンポラリージャズ。
 前二作のオーソドックスな色合いが薄くなり、複雑なビート、いかにも最新型なコンテンポラリージャズの怒涛のような演奏。
 ドラムはまさに怒涛のような叩きっぷりですが、ギターは怒涛と呼ぶには違和感のある優しい音。
 押し寄せてくるというよりは、次々と湧きだしてくような・・・、といった表現が妥当なような穏やかな音使い。
 最新作“Homes” (2015)まで続く、激しい系の最新鋭ドラマーMarcus Gilmoreとのコンビネーション、激しさと穏やかさの対比は絶好の組み合わせ。
 サックスMark Turnerのクールで強い浮遊感の不思議系の音使いも相性ピッタリ。
 本作ではジャズスタンダートはなし、全てオリジナル曲、不思議系。
 いろいろな楽曲が混在していた前作“Words unspoken” (2008)のいろいろな要素が一つに溶け込んだような統一感。
 アルバムの先頭と最後に短い“Prologue”、”Epilogue”を配し、後半に向けて徐々に高揚していくドラマチックな編曲、構成。 
 思わせぶりに始まり、紆余曲折を経て、終盤はドカーンと盛り上がります。
 全編通じてモダンジャズのムードがなくなり、いかにもコンテンポラリージャズ、ニューヨーク系。
 浮遊感が強くて、不思議で、激しいようで穏やかな複雑な質感。
 しかもドラマチックでスリリング。
 さらにクール。
 この質感そのままに、メンバーも同じ次作“This Just In” (Dec.2011,Jan.2012)へと続きます。




posted by H.A.