“Habanera” (2000) Simple Acoustic Trio
Marcin Wasilewski (piano)
Slawomir Kurkiewicz (bass) Michal Miskiewicz (drums)

Habanera (digipack)
Simple Acoustic Trio
Not Two
マルチン・ボシレフスキ


 ポーランドのピアニストMarcin WasilewskiのSimple Acoustic Trio、とても素敵なジャケット、演奏で日本でも人気の作品なのでしょう。
 華やかな演奏が目立つ作品。
 “Lullabay for Rosemary” (1995)とも、後のECMでの作品“Trio” (2004)とも違うテイスト。
 試しに本作と“Trio” (2004)の両方に収録されている親分Tomasz Stankoの”Green Sky”を聞き比べてみると、どちらも漂うようなルバートでのバラードながら、一音一音が明確でシャープな本作に対して、終始淡くて曖昧でフワフワした“Trio” (2004)での演奏。
 この後の変化は何なのか?
 単に録音の妙なのか?本人の変化か?誰かの指示、影響か?・・・
 興味は尽きないのですが・・・
 さておき、本作は華やかで哀愁溢れる素晴らしいピアノトリオ。
 単に派手に飛び回るわけでなくて、なぜかしっとりとした印象のピアノ。
 テンションが上がってきても、ガンガンゴンゴン行くばかりではなくて、何かしら抑制が効いた印象。
 クラシックを徹底的にやったうえで、Herbie Hancock好きになりました・・・そんなイメージでしょうか? 
 あるいは、ピタリと地面に張り付いたまま疾走する?とか、航空機の滑走~離陸とかのイメージ。
 上手い表現が見つかりませんが、結果としては華やかながらスムースで落ち着いた印象。
 要所に入るスムースなロングフレーズの印象が強いのでしょう。  
 時折の高速な高音中心のオブリガードや微妙なタメもいい感じ。
 ベースは落ち着いていながら強力なグルーヴ、ドラムのフレキシブルな反応もカッコいい。
 普通の高速な4ビートもエキサイティングで特別なものに聞こえてきます。
 楽曲はしっとりしたメロディからジャンピーな曲、その他諸々。
 激甘だったり強烈に印象に残るメロディがあったりはしませんが、オーソドックスなコンテンポラリージャズ風のいい曲揃い。
 ありがちなちょっとうまいヨーロピアンピノトリオからは一歩抜けた何かがあるように思います。
 その要因は、おそらく派手に弾いているようでも、一歩引いたように聞こえてしまう、しっとりした質感のピアノなのだと思うのですが・・・さて?
 このままいくのかと思いきや、”Soul of Things” (2002) Tomasz Stanko、“Lyrics” (2001) Henryk Miskiewiczなどのサポートを経て、淡い色合いの“Trio” (2004)へと続きます。




posted by H.A.