“Nefertiti” (Jun.Jul.1967) Miles Davis
Miles Davis (Trumpet)
Herbie Hancock (Piano) Ron Carter (Double Bass) Tony Williams (Drums)
Wayne Shorter (Tenor saxophone)

NEFERTITI
MILES DAVIS
COLUM
マイルス・デイビス


 Miles Davis、大黄金のクインテット、純アコースティックの編成では最終作。
 全編に漂う静かな緊張感、最高にクールな一作。
 前作“Sorcerer” (May.1967,1962)の次月の録音、同様にWayne Shorterの楽曲が多くを占め、Herbie Hancock二曲、Tony Williams一曲。
 基本的には同じムードですが、緊張感はこちらの方が上かもしれません。
 次作“Miles in the Sky” (Jan.May.1968)からはMilesの作曲が復活し、電気楽器、ロックビートへのへの転換。
 Wayne Shorter、あるいは他のメンバーに任せたイメージでの作品作りはここまで。
 それからすれば、本作はこの期のバンドの集大成。
 あるいは新主流派ジャズの集大成ともいえるのかもしれません。
 白眉は世評通り、タイトル曲"Nefertiti"でしょう。
 フロント陣のアドリブは一切ありません。
 ゆったりとしたテーマを淡々と奏でるのみ。 それもズレてみたり、トランペットが先行したり、逆になったり。 その代りにピアノのバッキング、オブリガードは意外な感じで入ってきて、明後日の方に飛んでいくし、中盤からは、ずーっとドラムソロ状態。
 これが伸び縮みする変幻自在のビートの行きついたところなのか、誰が何を考えてこうなったのかはわかりませんが、これが最高にカッコいい。
 とても激しい音ですが、これもなぜかクールな質感。
 ”Bitches Brew” (1969)の"Sanctuary"あたりはこの手法に近いのかもしれませんが、このバンドのメンバー周辺含めて、他では聞けないスタイル。
 さらに続く"Nefertiti"と類似するメロディのバラード”Fall”も、各人のソロはあるものの、フワフワした不思議な演奏。
 シンプルなテーマの繰り返しが陶酔感を誘う音。
 ミニマルの元祖、ではないのでしょうが新しい音作りなのだろうと思います。
 以降、クールでモーダルな演奏、“E.S.P.” (Jan.1965)からの路線の演奏が続きます。
 メロディは不思議系。
 全編静かに鳴り響くシンバルと、ゴムひものように伸び縮みするベース。
 時折の爆発的なドラミング。
 ピアノはリリカルですが、大胆不敵、予測不可能、意外性の塊のようなバッキングと流麗なソロ。
 “Hand Jive”、アナログB面に移って“Madness”では、またまたピアノはソロ+αのみで、一切バッキングはしません。 
 淡々と空間に響くシンバルとベースの音がクールです。
 各人の予測不可能な動きに瞬時に対応し、一体となっって動くピアノトリオ。 
 そんな音を背景に、爆発するサックスと悠々としたトランペット。
 このバンドのカッコよさがギッシリ詰まったアルバム。
 それでも本作、この後のライブアルバム“Live in Europe 1967: Best of the Bootleg, Vol. 1” (Oct,Nov.1967)も、まだまだスッキリしたジャズ。
 それがそろそろ御大にとってはマンネリだったりしたのかな?
 Jimi Hendrix “Are You Experienced” (1967)、Sly and the Family Stone”A Whole New Thing” (1967)が発表された年でもあるようです。
 このあたりで意識していたかどうかはわかりませんが、そろそろ辛気臭い、いや、クールなジャズはこれくらいにして次に行きかった・・・のかもしれない御大Miles。
 Miles Davis公式アルバムでは最後のアコースティック4ビートでのジャズアルバム。




posted by H.A.