“Miles in the Sky” (Jan.May.1968) Miles Davis
Miles Davis (trumpet, cornet)
Herbie Hancock (piano, electric piano) Ron Carter (bass, electric bass) Tony Williams (drums)
Wayne Shorter (tenor saxophone) George Benson (electric guitar)

Miles in the Sky (Reis)
Miles Davis
Sbme Special Mkts.
マイルス・デイビス


 Miles Davis、転換期のアルバム。
 前作“Nefertiti” (Jun.Jul.1967)までのアコースティック4ビートから、電気楽器、8ビート含めたロック色を一部で導入した転換点。
 ここからロック、ファンクを取り入れ、”Bitches Brew” (1969)に向けて変貌が本格的にスタートします。
 次の“Filles de Kilimanjaro” (Jun.Sep.1968)でさらにロック、ファンク色が強まり、セッション~テープ編集といった制作方法含めて次々作“In a Silent Way” (Feb.1969)、さらには、“1969Miles”(1969)などに収められているツアーを経て、”Bitches Brew” (1969)への準備完了といった流れ。
 前作の“Nefertiti”(Jun.Jul.1967)とは印象が異なる音楽、元気いっぱい、明るいムード。
 また、本作は一曲が十分を超える演奏、全四曲。
 Milesの久々の曲が二曲、Wayne, Tonyが一曲づつ。
 特に凝った編曲があるわけではありませんが、ちょっと変わっています。
 冒頭の"Stuff"など、5分以上のテーマの繰り返し~エレピの派手なオブリガードの後に、やっとインプロビゼーションが始まります。
 その手の構成は冒頭のみで、他はインプロビゼーション中心ですが、新主流派的なクールでモーダルなジャズに、ロック、ファンクのビートを取り入れ、自由にインタープレーを積み上げていくのが”Bitches Brew”の流儀だとすれば、その端緒。
 MilesもWayneもここまでよりも激しいインプロビゼーション。
 Herbie HancockもTony Williamsもビートが何であれ、切れ味抜群。
 特にTony Williamsが全編通じて激しく暴れまくっています。
 まだジャズなムード、クールなムードも残っていますが、熱が上がり、激しさが増しています。
 当時、相当斬新だったのは想像に難くないのですが、今の耳で聞いてしまえば、まずまず端正な音楽。
 ジャズロックってな感じでもなくて、ビートが変わった感じの不思議系ジャズ、エキサイティング系。
 一曲のみの参加のGeorge Bensonは、ジャズジャズしていないファンキー感じで悪くないと思うのですが、それでもジャズ的におとなしくて上品な感じが、イメージに合わなかったのでしょうかね。
 “Circle in the Round” (Oct.27.1955-Jan.27.1970)などに他のセッションが収録されていますが、ちょっと苦しそう。
 このバンドのフレキシブルさにいきなり溶け込むのはどう考えても難しそうだし、欲しかったのはロック寄りの刺激的な音だったのでしょう。
 おそらく、同様の理由でHerbie Hancock、Ron Carterも”Bitches Brew”には参加していないと勝手に推察します。
 三人ともMiles自身は気に入っていたとようで、残っていても面白かったんだろうなあ。
 ま、皆さんそれぞれにスタイリストなので・・・
 諸々の試行錯誤はあったのかもしれませんが、アルバムとしてもまとまった印象。
 音楽的には過渡期、転換期云々といった感じではなく、新しい感覚のジャズとして完成された作品。 
 それでも御大Milesにとってマンネリ、あるいは求めているものとは違う音だったのでしょうか?
 次は新たなメンバーを加えつつ、徐々にファンクに近づく“Filles de Kilimanjaro” (Jun.Sep.1968)。
 段々と過激になっていきます。




posted by H.A.