“Without a Net” (2010) Wayne Shorter
Wayne Shorter (Soprano, Tenor Sax) Danilo Pérez (Piano) John Patitucci (Bass) Brian Blade (Drums) Mariam Adam (Clarinet) Valerie Coleman (Flute) Monica Ellis (Bassoon) Jeff Scott (French Horn) Toyin Spellman-Diaz (Oboe)

Without a Net
Wayne Shorter
Blue Note Records
ウェイン・ショーター


 Wayne Shorter、現時点での最新作。
 “Footprints Live!” (2001)以来のカルテットでのライブ録音を中心としたアルバム。
 間に”Alegría” (2003)、”Beyond the Sound Barrier” (2005)の二作。
 ホーン陣の参加は一曲のみ。
 そちらは20分を超える不思議なメロディ、不思議な展開、変幻自在な組曲風。
 このバンドの自在な展開を譜面にしてみました、ってな感じでしょうか。
 他はカルテットでの演奏。
 “Footprints Live!”ではぶっ飛び気味でアバンギャルドだったサウンドが、少々オーソドックス寄りとは言わないけども、まとまってきた印象。
 複雑なビート感、展開はそのまま、違和感やトゲのようなものが薄くなり、スッキリした印象。
 おそらくバンドのスタイル自体は同じで、基本的に自由なんだけども、お互いの手の内が見えて慣れてきて、落ち着くところに落ち着くようになった・・・のでしょうか?
 それでも不思議系、変幻自在であることは変わりません。
 サックスはまだまだ吹けています。 というか吹きまくっています。
 “Footprints Live!”では感じられた少々の枯れがなくなり、艶やかな音で迷いのないフレージング。
 ピアノトリオも各人の反応がピッタリと合ってきた感じ。
 突っ走ると気持ちいいんだろうなあ、といったところで突っ走って、落ち着くところではそれなりに納まる感じ。
 メロディアスだったり、コード進行が見えたりする場面が増えているようにも思います。
 “Bitches Brew” (Aug19-21,1969) の“Sanctuary” を想い起こさせる、ルバートでのバラード”Starry Night”などは絶品です。
 聞いているこちらが慣れただけなのかもしれませんが・・・
 ある程度の骨子だけ決めて、後は自由自在にビートも和音も成り行きで音楽を作っていく、フリーになったらなったでそれでいいし、メンバーの波長が合えば定型な音に収斂されてもよし、そんな試みだったのでしょう。
 ある程度先が読めるようになった感じもありますが、やっぱり何だか現代の不思議系。
 クリエイティブ系の若手もビックリのクリイティブな演奏。
 御歳おいくつかかわかりませんが、まだまだ元気、やっぱり普通ではないWayne Shorterミュージック。




posted by H.A.