“Native Dancer” (1974) Wayne Shorter with Milton Nascimento
Wayne Shorter (soprano, tenor sax) Milton Nascimento (Guitar, Vocals)
David Amaro (Guitar) Jay Graydon (Guitar) Herbie Hancock (Piano, Keyboards) Wagner Tiso (Organ, Piano) Dave McDaniel (Bass) Roberto Silva (drums) Airto Moreira (percussion)

ネイティヴ・ダンサー
ウェイン・ショーター
SMJ



 Wayne Shorter、久々のリーダー作。
 ブラジルのカリスマMilton Nascimentoとの共演。
 リーダー作としては“Odyssey of Iska” (Aug.1970)以来、Weather Reportでは“Mysterious Traveller” (1974), “Tale Spinnin'”(1975)あたりと近い時期。
 リーダー作でボサノバ曲はいくつか取り上げていましたし、“Moto Grosso Feio” (Apl.Aug.1970)ではMilton Nascimentoの名曲“Vera Cruz”を収録。
 そちらはちょっとびっくりのヘビーさでしたが・・・
 Weather Reportとしてもこれからラテン混じり、楽園テイストに移行しようとしていた時期でもあるのでしょう。
 本作は、かつてのリーダー作やこの頃までのWeather Report諸作からは想像できない、あくまで明るいブラジリアンフュージョンアルバム。
 盟友Herbie Hancockの色合いも強いのでしょう。
 なお、同時期、親分Miles Davisはとてもハードな“Dark Magus” (Mar.1974)、完全に別の道を進んでいらっしゃたようです。
 半数の楽曲がMilton Nascimento、ブラジル的な郷愁感が漂う、現代的なメロディの素敵な曲ばかり。
 Wayne Shorterの楽曲も不思議さが薄くなり、明るくなってすっかりイメージチェンジ。
 幻想的なエレピの響きがとてもいい感じで背景を作り、ソプラノサックスの落ち着いたインプロビゼーション、裏表を使い分けたこれまた幻想的な声。
 あのファルセットから始まり、最後のHerbie Hancock作、ルバートでのバラードに至るまで、最高の演奏。
 とても楽園チック。
 Wayne Shorterの諸作としても極めて異色、Weather Report色、ジャズっぽさはあまりありませんが、ここからこの後のWeather Reportに移植していったのかな?と思う展開がしばしば。
 ジャズ、フュージョン、Weather Report、ブラジル音楽、ポップス・・・がいい感じでフュージョンしたとても素敵な音楽。
 結局、Milton Nascimentoのアルバムとしてもこれが一番好みだったりして・・・
 なんだかんだいってもジャズっぽいもんね。




posted by H.A.